平方元基×ウエンツ瑛士×笹本玲奈のトリプル主演で、ブロードウェイミュージカル『メリリー・ウィー・ロール・アロング』が2021年5月17日から新国立劇場・中劇場にて上演される。
本作は、ブロードウェイのショービジネス界を舞台に、3人の人生の遍歴を中心に現在から過去へと約20年間を遡っていく群像劇。『スウィーニー・トッド』などで知られるスティーブン・ソンドハイムが作詞・作曲を手掛け、本作のメアリー役を演じ、オリヴィエ賞最優秀リバイバル賞を受賞した経験がある女優のマリア・フリードマンが演出を担う。日本では2013年に初演されており、8年ぶりの上演となるが、今回は「新演出版」という位置づけ。平方、ウエンツ、笹本のほか、昆夏美、今井清隆、朝夏まなとら実力派キャストが顔をそろえている。
本番まで1ヶ月を切った、4月下旬。東京都内で行われている稽古場を取材した。新型コロナウイルスの感染予防対策のため、手指の消毒や検温に加え、15分ほどで結果が分かる抗原検査にて「陰性」であることを確認してから取材にあたった。出演者は歌を歌う時であっても、常時マスクを着用し、それぞれの待機場所はシートで仕切りがなされるなど、感染予防対策が徹底されていた。
平方、ウエンツ、笹本は、意外にも初共演。全員1985年生まれの同い年で、親友同士の役柄ということもあってか、稽古の合間に「SNSで誰が一番ポエティックな投稿をできるか」を争うなど、終始、和気藹々とした雰囲気だった。
この日は、物語の後半、フランク(平方)、チャーリー(ウエンツ)、メアリー(笹本)がまだ21歳だった場面の稽古。若き希望に燃えている3人が歌う楽曲「オープニング・ドアーズ」をはじめ、畳み掛けるようなセリフとメロディの応酬が続く。ソンドハイムらしい難曲で、1つでも何かを間違えば、すべてが上手くいかなくなってしまうような、緻密さと正確さが求められる場面だが、出演者らは、とても自然に、そして、実に楽しそうに(たとえミスをしても、その失敗さえも楽しむほどの余裕を持って)稽古をしている姿が印象的だった。
海外スタッフと、都内の稽古場をリモートでつなぎ、画面越しにやりとりをする。コロナ禍ならではの風景ではあるが、双方がこの"リモート稽古"に慣れてきたのだろう。スムーズに進行していた。特に、演出のマリアは、リモートながら時に身振り手振りを交えつつ、俳優たちの役づくりのヒントとなるような話を多く展開していた。
人生を「逆再生」で描くという斬新さもありながら、人との絆の大切さやすれ違う恋の切なさが心を打つ、普遍性もあるミュージカル。感染対策が万全にされている劇場で、心の癒しと栄養を受け取りたい。
東京公演は5月17日から31日まで。大阪公演は6月11、12日、梅田芸術劇場メインホール。チケット発売中。
取材・文・撮影:五月女菜穂