1865年の米国・マサチューセッツに生きる四姉妹を描いた名作小説をミュージカル化した『Little Women -若草物語-』が、9月3日〜25日に日比谷 シアタークリエにて上演されます。インタビューに揃った四人は、すでに仲の良い姉妹のように笑顔が絶えません!
左から 下村実生/彩乃かなみ/朝夏まなと/井上小百合
主人公であり、次女のジョーを演じるのは朝夏まなと。長女メグ役の彩乃かなみとは同じ宝塚歌劇団出身。稽古では組んだことがあるものの、共演は初めてだそうで、お二人から楽しみな気持ちが伝わってきます。
一方、下の妹お二人は本格的なミュージカルは初出演。三女ベス役の井上小百合、四女エイミー役の下村実生ともに、ライブとミュージカルの違いには不安もありつつ、楽しみだそう。
朝夏 「ジョーにすごく憧れていました」というお手紙をファンの方からたくさんいただきました。ジョーは、この物語の時代にあって、職業を持って男性に頼らず生きていこうとする、先進的で強い女性。今の女性がすごく共感できるはず。彼女の持つ情熱、意思を貫く強さ、自分より相手のために、人のためにできる行動力はとっても潔くてかっこいい。楽曲が素晴らしく、ストーリーは言わずと知れた名作で、すごく素敵な作品です。
彩乃 譜面をみると、なかなか難易度が高く、四姉妹で歌うところでは、一人1パートを担っているので、かなり自立が必要ですね。みんなふだん歌っているジャンルが違うので、どう融合するのか楽しみです。
朝夏 私も歌が楽しみ!ローリー君(林翔太)が入ることもあるし、重奏が多くて、ハーモニーも綺麗なんですよね。
----本格的なミュージカルには初出演のお二人はいかがですか?
下村 初めての大きなミュージカルなので不安もありますが、前から興味があったので、嬉しく......決まった時最初は「嘘かな」って思いました(笑)
井上 (姉ふたりに)頼りに頼っていこうと思っています。でも吸収できるものは吸収して、盗めるものは盗みたい。色んな方に「ベス役ぴったりですね!」ってすごく言っていただけたんです。ただ、本来の私はけっこう逞しいので、大人しいベスから一番遠いんじゃないかな......。だからこそ演じられることもあるのかなと思います。
下村 私は末っ子で、お兄ちゃんが2人いるので自分自身と少し近いところはあります。小さい時にお兄ちゃんの後をついていった時の気持ちを思いだしてやれたらいいなと思っています。
----みなさん、実際には男兄弟がいらっしゃるんですよね?
彩乃 純粋に姉妹だけってどういう感覚なんだろう〜!本当の姉妹ってけっこう辛辣で言葉が強めなイメージがありますから(笑)私たちも稽古場で少しずつハッキリ言える関係になれたらと。その仲の良さが舞台にも出るといいな。
下村 ジョーと喧嘩するシーンがあるんですが、そういうところで姉妹ならではの感じがでるのかな......
朝夏 (下村に)日頃のうっぷんをためておいて(笑)、本気でむかってきてね!
----宝塚歌劇団出身の2人から、井上さん・下村さんへ伝える「ミュージカルの楽しさ」とは?
彩乃 ライブでのパフォーマンスと違って、ミュージカルでは台詞や歌を通して"誰か"を演じなければならないので、役を創っていく面白さがありますね。しかも毎日同じじゃない。
朝夏 だからこそ発見がいっぱいありますよね。相手の表現を受けて「そうくるとしたらこうだ」と作品を構築していく。そして本番でまた一段階上の表現ができたり、ちがう発見を毎日できたりするのが楽しい。
彩乃 「ああかな、こうかな」って考えることが楽しいよね。知らない自分に出会える。
----先輩2人のお話を聞いてみて、どうですか?
井上 歌を通してのお芝居、自分なりにどう表現できるのかが楽しみです。
下村 ライブだとお客様も声を出したりして一緒に盛り上がるけれど、ミュージカルのお客様はどんなふうに言葉や音楽、歌を受け取って下さるのか......。お客様が違うと自分も変わるので、それが楽しみ。舞台の上に立ってから吸収することもあるんだろうな、と思います。
----どんな舞台にしたいですか?
下村 お父さんが家を空けている中、女性だけで「やってやるぞ」と一致団結する家族のきずなを、このカンパニーで作る説得力でお伝えできたらいいなと思います。
井上 家族や大事な人を思い浮かべて観ていただけたら嬉しいです。ベスは病弱だけど誇りをもって生きていく女の子。お客様も生きることについて考えていただけたら。
彩乃 年齢や体験や今の状況によって共感するところが違うはず。お客様がなにを受け取られるのか......それぞれの思いを持ち帰っていただけたら。この舞台をきっかけに本を読み返していただいても楽しめると思います。このカンパニーならではの『若草物語』をお届けしたいです。
朝夏 原作はこれまで、映画、アニメ、漫画など様々に翻案されていますが、今回はナマの舞台ならではの、目に見えない絆や空気感が出ると思います。今は隣に住む人も知らないということもある時代ですが、この作品には、身近な人との絆であったり、失われつつあるけれど失くしてはならない大事なものが詰まっています。それをぜひ体感しに来ていただきたいですね。
朝夏の意気込みに、3人も大きく頷きます。すでに"姉妹"の繋がりを感じさせる4人が醸す空気感に、期待が高まります。
公演は9月3日(火)東京シアタークリエにて開幕。
★チケットぴあ半館貸切情報★
9月7日(土)12:30/9月11日(水)13:30
取材・文/河野桃子
撮影/源賀津己