オーランド・ブルーム主演、デヴィッド・ルヴォー演出のブロードウェイ版『ロミオとジュリエット』が映画館で上映中です。
本作は、2013年9月にニューヨーク・ブロードウェイで開幕し、ブルームはこの舞台でブロードウェイデビューを果たしました。
オーランド・ブルームと言えば、映画『パイレーツ・オブ・カリビアン』のウィル・ターナー役や『ロード・オブ・ザ・リング』のレゴラス役で世界的に有名な大スター。
そのブルームがシェイクスピア4大悲劇のひとつ『ロミオとジュリエット』でロミオ役に挑戦した話題の舞台です。
演出は日本でも名の知れた演出家デヴィッド・ルヴォーが手がけました。
演劇ファンには説明不要のルヴォーですが、少しだけ経歴に触れると、トニー賞を受賞したアントニオ・バンデラス主演の『NINE』をはじめ、ジェシカ・ラングの『ガラスの動物園』、日本で上演した、宮沢りえ、堤真一出演の『人形の家』などビッグネームとタッグを組み数々の作品を世に送り出してきました。昨年の草なぎ剛主演『道』の演出は記憶に新しいところ。
そんなプレミアム感満載の舞台を、日本語字幕付きで映画館で鑑賞できるチャンスを見逃す手はないとばかりに、早速映画館へ足を運びました。
(C)Carol Rosegg
『ロミオとジュリエット』は14世紀ごろのイタリア・ヴェローナが舞台として描かれていますが、ルヴォー版では現代を思わせる演出となっています。
例えば、ロミオがバイクにまたがって登場したり、衣裳もTシャツにジーンズという装いでこの物語が現代とどこか地続きになっているかのように感じます。
(C)Carol Rosegg
オーランド・ブルームのロミオは、登場した瞬間から観客の視線を一気に集め、美しい顔立ちと凛とした佇まいで"モンタギュー家"の一人息子を体現。
誠実さと大人の色気が混在した魅力的なロミオに、ジュリエットがたちまち心を奪われてしまうのは無理からぬことと妙に納得してしまいました。
少しネタバレになりますが、ジュリエットの乳母がロミオのことを悪く言いたいのに、思わず「ハンサム」と口にしてしまう場面は可笑しかったです。
(C)Carol Rosegg
敵対する"キャピュレット家"の一人娘ジュリエットは、舞台を中心に活躍している実力派女優のコンドラ・ラシャドが務めます。アフリカ系アメリカ人の彼女は大きな瞳がくるくると動き、活発で可愛らしいジュリエット像を造形していました。
(C)Carol Rosegg
前半のふたりが恋する場面では、詩のように流麗なセリフがこれでもかと繰り出され、衣裳やセットといった視覚面ではなく、言葉によって甘美なシーンが構築されていました。また、時折挟み込まれるコミカルなセリフや仕草に度々笑いが起こり、この作品が喜劇的要素を含んでいることを改めて実感。観客の感度の高さはさすがブロードウェイですね!
演出面では、作品のテーマのひとつである"炎"が効果的に使われていました。
その意味するところは、舞台だからこそ成立する表現方法なのだと思います。
今回の上映は、松竹が本場ブロードウェイの舞台を映画館で楽しめるようにと立ち上げた【松竹ブロードウェイシネマ】の第二弾。
東京・東劇では、3週間の限定公開で、大阪、名古屋のほか、全国でもロードショー予定とのこと。公開期間が限定されているようなので、鑑賞される予定の方は事前に公式アカウント等で確認されると良いと思います。
<公式アカウント>
https://www.instagram.com/shochikucinema/
https://www.facebook.com/ShochikuBroadwayCinema
▼オーランド・ブルーム主演 ブロードウェイ版「ロミオとジュリエット」予告
https://www.youtube.com/watch?v=TcLi5fhoazY