少年社中「MAPS」毛利亘宏×南圭介×多和田秀弥「ずっと一緒にやりたかった」

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5月に上演される、少年社中20周年記念第二弾・少年社中第34回公演「MAPS」。

本作は少年社中20周年を記念した作品第二弾で、約1年4ヵ月ぶりの劇団本公演。3枚の地図を巡るファンタジーは、主宰の毛利亘宏氏による完全オリジナル戯曲です。

果たしてどんな作品になるのか、劇団の主宰で脚本・演出を手掛ける毛利亘宏さん、そして少年社中作品には初めて出演する、南圭介さんと多和田秀弥さんにお話をうかがいました!

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楽園を信じて進んできた長い航海の中間地点でのお話

――まずは「MAPS」がどのような作品になるかを教えてください。
毛利:3枚の古地図を巡るお話で、ファンタジー的な世界と、時代劇と、現代劇のようなものが古地図を巡ってクロスオーバーしていき、ひとつの物語になるという作品をつくろうとしています。"古い地図"と"嘘"と"楽園"という3つのキーワードをもとに、少年社中らしい世界をつくってみたいなと思っています。

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――それはこの作品が「少年社中20周年記念第二弾」であることとはリンクしていますか?
毛利:そうですね。20年間ずっと旅を続けてきたようなもので。何も描いてない真っ白な地図で、果てないゴールを目指して航海を続けてきたみたいな気持ちがありまして。辛いこともいっぱいあって、楽しいこともいっぱいあって、そこで得てきた"ロマン"というか"想い"をぶつけてみたいなと思いました。その果てに何があるか誰も知らないけど、楽園があると信じて20年進んできて。もちろんまだこの先も続いていく航海の途中だという気持ちもすごくありますし。その長い航海の中間地点でのお話です。

――南さんと多和田さんはこの作品に出演することになっていかがですか?
多和田:少年社中さんの作品は観させていただいたことが何度かあって。僕はすごく好きな世界観で、観ると毎回ワクワクしていました。それで僕もいつか毛利さんのつくられる世界に飛び込んでみたいという気持ちがあったので、今回お話をいただいて素直にうれしいです。

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――過去には「手裏剣戦隊ニンニンジャー」(多和田さんはキンジ・タキガワ / スターニンジャー役)で脚本家と出演者として関わられていますよね。
多和田:そうですね。現場でお会いする機会はあまりなかったのですが、ファイナルライブツアーのときに毛利さんに花束をもらいました(笑)。
毛利:そうだった!そうだった!(笑)
:僕も毛利さんとの出会いは「宇宙戦隊キュウレンジャー」(鳳ツルギ / ホウオウソルジャー役)です。毛利さんが書かれる言葉はすごく入りやすかったので、今回もとても楽しみにしています。多和田くんもお芝居では初共演ですし、楽しみなことがいっぱいありますね。

――"お芝居では"ということは何か繋がりがあるんですか?
:ミュージカル『テニスの王子様』で同じ役をやっていたんですよ(手塚国光役)。僕は1stシーズン、多和田くんは2ndシーズンなんですけど。

――同じ役だとなにかシンパシーを感じたりしますか?
:似たものは感じますね(笑)。
多和田:それは僕もです。周りからもよく言われたりしていました、雰囲気が似てるとか。

――おふたりはスーパー戦隊シリーズではそれぞれ"追加戦士"でもありますね。
毛利:追加戦士って難しいんですよ、入り方が。できているカンパニーの中に入るわけだし、だけど強烈なキャラを求められがちだし。でもその中で自分らしさみたいなものがないとやっぱりキャラに負けちゃう。だから、強烈に色付けされているキャラに対して自分らしさをちゃんと乗せて、最後までレッドに次ぐ重要な役割で引っ張っていく、それが追加戦士をやってきた人たちの面白さなんです。なので、少年社中の作品には追加戦士の方にすごく出てもらっています(笑)。

――その中でもおふたりに出てもらいたかったのはなぜですか?
毛利:ずっと一緒にやりたかったんです。多和田くんに関しては、「手裏剣戦隊ニンニンジャー」のときに、難しい役を面白くするなっていう印象があって。だからいつかやってみたいなっていうのはずっと思っていました。なので今回、出演が決まって、しかも少年社中に出ていただけることになって嬉しいですね。
多和田:「手裏剣戦隊ニンニンジャー」は、けっこう自由にもやらせていただけていて。おかしなキャラだったのですが、ただおかしなだけじゃなく二面性のようなものも出していきたいなと思ってやっていました。だからそれを観て、そう思っていただけたのは嬉しいです。

――南さんの「宇宙戦隊キュウレンジャー」はつい最近まで放送されていましたよね。
毛利:南くんは、「宇宙戦隊キュウレンジャー」のオーディションのとき、腕があるのもわかっていたし、役のイメージにもぴったりだったので、「決まってくれ!」と思っていた人です(笑)。なので今度はぜひ自分のフィールドにも出てもらいたくてお声がけしましたね。ただまさかこんな直後に出てもらえるとは思ってなかったので、嬉しいです。
:嬉しいです! 僕が今ここにいるのも毛利さんのおかげですね。そんな毛利さんがここまでつくりあげてこられた少年社中さんで、僕もなにか一緒につくれるのは楽しみです。

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――ちなみに、少年社中作品に出演の声をかけるときの基準などはあるのでしょうか?
毛利:とにかく好きな人しか呼ばないです。今やりたい人を呼ぶっていうのが基本的なスタンスですね。

――他の出演者の皆さんも色とりどりですね。
毛利:今回、「手裏剣戦隊ニンニンジャー」から3人(多和田、山谷花純、伊勢大貴(主題歌歌唱))という(笑)。
多和田:忍んでない(笑)。
毛利:小野健斗も柏木佑介もミュージカル『薄桜鬼』で長く一緒にやってきた仲間ですし、中村誠治郎は外では10年前から何度か一緒にやっていますが、少年社中ではなかなかタイミングが合わなかった中でようやく出てもらえることになりました。あづみれいかさんは、いつもどしっと締めてくれる人ですし、実力もあってバランスのいいキャスティングができたなと思っています。

毛利亘宏を投影する

――おふたりの役は決まっていますか?
毛利:南くんには漫画家の役、多和田くんは冒険家の役をやってもらおうと考えています。ただふたりには、さっきこうしようかな...って話しをしました(笑)。ふたりともスーパー戦隊シリーズで書いたイメージとはできるだけ真逆に振りたいなというか、違ったものを書きたいというところから、役を決めました。
:漫画家は毛利さんをモチーフにした役だそうで。僕の知らない毛利さんを見つけていくのが楽しみです。

――漫画家というのは具体的にどういう役ですか?
毛利:楽園を目指す冒険家たちの話を描く漫画家になる予定です。自分が今思っていることや、想いがストレートに乗っていくような感じになっていくと思います。
:南自身は絵はものすごく下手ですけど。個性派の絵を描く印象派として...。
多和田:あははは!

――多和田さんの冒険家はどんな役ですか?
毛利:冒険家は何人かいるのですが、船を率いる船長という立ち位置です。若いけど人をまとめるようなイメージ。かつての自分が乗っかるキャラクターになるんじゃないかなって気がしています。だから南くんのほうに今の自分、多和田くんのほうに20代で劇団を立ち上げた頃、夢に向かっていくことへの恐れを知らなかった頃の自分を投影していくんじゃないかなと思っています。ふたりには自分の大事な部分を担ってもらうことになりそうです。

――ご自身を投影するおふたりに「こう演じてほしい」というのはありますか?
毛利:感じたままにやってもらいたいですね。自分を脚本に投影したときに、それがどう見えるのかというのは楽しみでもあるし。臆せずドーンとやってもらいたいです。忍ばずにやってもらいたい(笑)。
多和田:忍ばないのは得意です(笑)。この作品を観たら毛利さんが全部わかる感じになりそうですね。
毛利:そうですね。今回は紀伊國屋ホールという小劇場の中では伝統ある小屋でやらせていただくにあたって、少年社中としての一枚の地図というか、歴史の詰まった新しい作品になったらいいなと思って。自分が今どの位置にいるかというのも、みんなを通して描きたいな思っています。

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全力で背中を押せる作品

――少年社中20周年記念第一弾となった「ピカレスク◆セブン」を経た流れはありますか?
毛利:「ピカレスク◆セブン」は"少年社中×東映 舞台プロジェクト"でもありましたし、大規模でやらせていただいて、とにかくいける限界までいってみようという感じでした。今回は、地に足をつけてじゃないですけど、自分たちが一番得意とする劇場で勝負をする。劇団の力が試される作品になるかなと思います。

――1年4か月ぶりの本公演というのも思いとして、あるのでしょうか?
毛利:そうですね。久々の本公演でもありますので「これが少年社中だ」というものをやりたいです。20周年にして初めて「少年社中とはなんだ」ということを考え直して、描きたいなっていう想いがあります。20年もやっていると、自分たちが今どこにいるかがわかりにくいところもあるので。

――おふたりは劇団公演に出演するという意味でチャレンジしたいことはありますか?
多和田:劇団の方たちってお互いを知り尽くしていて、もちろん作品も何度も力を合わせてつくっていて。客演の役者はそこに色を加えることを求められて呼んでいただいてると思うんですよ。特に今回は少年社中さんにとって大事な作品になるとも思いますし、自分を選んでいただいたからには、今までにない色をつけられるようにがんばりたいなって、お話を聞いていて思いました。
:僕自身、得るものが非常に多いと思いますし、だからこそそれ以上に何か一つでも返したいという気持ちがあります。個人的には、毛利さんを投影したリアリティのある役だと思うので、どれだけリアルにそこに立っていられるかは意識したいですね。

――では最後に意気込みを聞かせてください。
多和田:僕は「少年社中さんの作品に出たい」という気持ちがあったので、今回は自分の目標が叶う瞬間でもありますし、「手裏剣戦隊ニンニンジャー」でお世話になった毛利さんに恩返しができたらなともすごく思っています。地図のお話なので、その地図の中を大きく自由に冒険できるような作品にしたいです。
:僕たちがつくる地図で皆さんに何か伝えられたらなと思うので、ぜひ楽しみに待っていていただけたらと思います!
毛利:どんな人でも一人一枚地図があって、自分が自分らしくいていいんだ、自分が思うように生きていいんだっていうことを思って帰ってもらいたい、そんな作品になればいいなと思っています。特に、チャレンジしたい人や今迷ってる人には観に来てほしいです。全力で背中を押せる作品になるんじゃないかと思うので。楽しみにしていてください。劇場でお待ちしております。

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公演は、5月31日(木)から6月12日(火)まで東京・紀伊國屋ホール、6月22日(水)から24日(日)まで大阪・ABCホールにて。

取材・文:中川實穗
撮影:イシイノブミ

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