■ミュージカル『マタ・ハリ』特別連載(7)■
稽古場レポートやキャストインタビューから作品の魅力に迫るミュージカル『マタ・ハリ』連載。
今回は、ピエール役(Wキャスト)の百名ヒロキさんのインタビューをお届けします!
今回の日本版『マタ・ハリ』を演出する石丸さち子さんが2017年2月に上演したミュージカル『ボクが死んだ日はハレ』で本格的にミュージカル界へ進出した百名さん。
風のウワサできくところによると、その時に「ピエールにぴったりの子がいる」と、今回の抜擢に繋がったとか......。
『マタ・ハリ』がグランドミュージカル・デビューとなる百名さんに、意気込みや見どころを伺いました。
● 百名ヒロキ INTERVIEW ●
―― こういう大型作品、いわゆる"グランド・ミュージカル"と呼ばれるものは初挑戦とか。
「そうです! 僕にとっては大型ミュージカルのデビュー作になりますので、かなり意気込みもあります。稽古も、毎日毎日、勉強です。こうやって進んでいくんだ...とか、学ぶことばかりで、楽しいです。最初は「自分、大丈夫かな...」と思っていたのですが、徐々に、ちょっとずつ、よくなっていってる...気がします(笑)」
―― 音楽は日本でも人気の、フランク・ワイルドホーン。彼の楽曲を実際に歌ってみて、いかがですか?
「......すごく大変です(笑)。今回僕はピエールとしてだけでなく、アンサンブルとしての曲もありますので、みんなで作り上げていく感じなのですが、僕、ハモることもあまり馴れていなくて。三重唱とか四重唱とか、パートごとの練習もしなくてはいけないし、僕にとってはそこから、とても大変でした。でも、稽古場で毎回テンションが上がります! どの曲も、歌っていて気持ちがいい。......ただ今はまだ、歌うより、聴いている方が気持ちがいいかな(苦笑)。まだ稽古序盤ですし、「ここはこうしなきゃ」というようなことに、どうしても追われてしまって。早く、気持ちよくなりながら歌いたいです」
―― それにしても、面白い稽古場ですね。石丸さんがパワフルで。
「石丸さんはいつもパワフルです。風邪もひかないし声も枯れないんですよ(笑)。すごいパワーの持ち主。元気がない状態で稽古場に来ても、元気を出さざるを得ない稽古場です。石丸さんに共鳴するのか、帰る頃が一番元気になる(笑)」
―― そんな百名さんが演じるのは、戦闘パイロットのピエール。現時点でどんな青年だと考えていますか?
「まだ、色々とやっていくうちに、新たなことを見つけたり、「あ、違ったんだ」と思ったりもするんですが......。やっぱり一番若くて、真っ直ぐ。だからこそ「戦争に行きたくない」って言えちゃう。一番現代の人に近い考えを持っているんじゃないかな。でもそれは、この時代だと許されない。戦争に翻弄される若者の代表だと思っています」
―― 西川大貴さんとWキャストですね。
「とても勉強になります。大貴さん、『ボクが死んだ日はハレ』を観に来てくださって、そこからご飯行ったりと仲良くしていただいています。Wキャストだと、自分がやる役をほかの方がやっているのを、客観的に観られる。そういうことも初めての経験です。そこで新たに気付くことがあったり、僕はこうしようと思うことも出来るので、とても感謝しています」
―― この作品で、ご自身の登場シーンに限らずお好きなシーンはどこですか?
「ナンバーで言うと『英雄であれ』というところです。恥ずかしながら......自分が出ているシーンですが(笑)。ここは見どころです! パイロットたちが旅立つ気持ちを歌っていて、メロディも鼓舞される感じでカッコいい。でも、ストレートに歌詞として語られてはいないんですが、彼らは死ぬとわかっていて旅立つんです。タイトルは"死んで英雄になれ"とう意味なんです。ちょっと、日本的(自己犠牲の)精神でもあるし、みんな死ぬ気持ちで飛行機に乗るという気持ちが伝わってくる。(稽古の)今よりもっと、カッコよく歌いたいと思います」
―― ちなみに百名さんだったら、陸空海、どこに志願しますか?
「空か海で迷いますね。でも空かな。カッコいい。空は若者の憧れです。当時の彼らも、カッコいいという理由で志願した人もいた。それが死んでいってしまうのが戦争なんですよね」
―― たしかに。最後に、言い残したことがあればお願いします。
「大阪に、行きたかったです...」
▽ Wピエールで2ショット頂きました!
取材・文:平野祥恵(ぴあ)
撮影:源賀津己
【公演情報】
・1月21日(日)~28日(日) 梅田芸術劇場メインホール(大阪)
・2月3日(土)~18日(日) 東京国際フォーラム ホールC
★ピエール役は、西川大貴さんとWキャスト。百名さんは東京公演のみ出演。