2017年2月16日アーカイブ

2月4日に第24回読売演劇大賞が発表になりました。
最優秀作品賞にはミュージカル『ジャージー・ボーイズ』が、
そして最優秀男優賞には、同作で主役、フランキー・ヴァリを演じた中川晃教さんが選ばれました。
 
読売演劇大賞の歴史の中で、ミュージカルが最優秀作品賞を受賞するのは初めてのこと。
『ジャージー・ボーイズ』は最優秀作品賞、最優秀男優賞のW受賞!
 
2月15日、中川晃教さんの受賞記念取材会が開催されました。
中川さんらしく、その喜びの思いや、『ジャージー・ボーイズ』という作品が自身にとってどのような位置づけの作品になったのか、またその作品を作り上げる苦労、さらにはこれから先見つめる未来についてまで、言葉を尽くして丁寧に語られていました。
その様子をレポートします。
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会見冒頭には、「作品はまず自分がその作品と出会うことからスタートし、共演者やカンパニーと約1ヵ月の時間をかけて、練り上げて作っていきます。その時間を経て幕は開きますが、多くの方々に劇場に足を運んでいただいて、その魅力を感じていただくことで、盛り上がっていく。劇場に足を運んでいただく、"観にいきたい"と思っていただけるお客さんを作るためには、メディアの皆さんに作品の魅力を届けてもらうことで、結果に結びつくのだということを最近特に感じています。『ジャージー・ボーイズ』では特に、メディアの皆さまに盛り上げていただいたことを実感しました。その結果いただいた賞だと思っています」と、集まったメディアにお礼を述べていました。
そんなところにも中川さんの人柄がしのばれます。
 
 
―― 今回の受賞に際して、『ジャージー・ボーイズ』のキャストや演出の藤田俊太郎さんと、何か連絡はとりましたか?
 
「作品賞、演出家賞、男優賞の三冠をとった(読売演劇大賞はノミネート=各賞の受賞。その中から「最優秀」が改めて選出される)時に、『ジャージー・ボーイズ』はLINEグループがなかったので、個々に知ってる人たちと「おめでとう、やったね」とLINEやFacebookで喜びを分かち合いました」
 
 
―― たくさんのお祝いの言葉をいただいたと思います。特に心に残った言葉があれば。
 
「どの方のメッセージも心に残っているのですが、近年ご一緒する機会が多いプロデューサーから「中川さんが、そして中川さんが出演したこの作品が受賞したことを、中川さんと一緒に仕事をして、中川さんを知る人みんな喜んでいると思います」というメッセージをいただいたんです。その言葉はすごく響きました。今回、もちろん『ジャージー・ボーイズ』に関わったすべての人の努力が報われたなと思った受賞だったのですが、同時に、これまで僕が出会ってきた人たちすべてへの感謝の気持ちを持つということが、自分のなかでふっと腑に落ちた。そういう思いにさせてくれたメッセージだったので、心に残っています」
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去年、七回忌を迎えたつかこうへい作「熱海殺人事件」は1973年の初演以来、様々なバージョンで演じ継がれてきた4人芝居。

2月に上演される最新作はタイトルに"NEW GENERATION"と冠し、若さみなぎる面々がこの傑作を受け継ぐ。

中でも主演・木村伝兵衛部長刑事役の 味方良介 は、風間杜夫、阿部寛ら名だたる男優が演じてきたこの大役を、史上最年少の24歳で挑むことに。

「テイク・ミー・アウト」などでも好演し、メキメキ頭角を現している注目株に、その胸中を訊いた。


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――味方さんが「熱海」の木村伝兵衛を演じるという一報を聞いたとき、かなりの驚きがありました。

理由としては年齢と、去年の「新・幕末純情伝」に続いてつか作品がまだ2作目ということがあると思うのですが。

ご自身はこのオファーを、どう受け止めたのでしょうか?


「僕自身も 『え? いいんですか、僕で 』 というのが正直な感想でした(笑)。『やりたいです! やらせてください』 とすぐお答えしたんですが、自分が思っている以上に"木村伝兵衛"という存在の大きさを今、感じています。

『お前にできんのか?』 というのも含めて、周りからの期待を感じるし。

先日もある舞台を観に行ったとき、見知らぬ中年男性の方に、『味方くんですよね? 「熱海」楽しみにしてます』 と声を掛けられて。

『そこまで大きなことなんだな』 という実感が、日に日に増していくというか。たぶん僕の今までもこれからも全てが変わるような役なので、自分が今できる以上のことをぶつけていきたいし、見せていきたい。

今の自分の手札にないもの、引き出しにないものを使わなきゃいけない役だと思うんですけど、それもものにして、これまでに木村伝兵衛を演じてきたいろんな方々の中に、胸を張って並べるようにしたいなっていうのは、お話をいただいたときから思っていることですね」


――確かに、錚々たる先輩たちが演じてきた役ですよね。最近では、2014年に馬場徹さんが演じました。味方さんにとってはミュージカル「テニスの王子様」で同じ役(柳生比呂士)を演じたという共通点があります。


「木村伝兵衛を演じると発表した日に、演出の岡村(俊一)さんがばーちょん(馬場)さんを連れてきてくれて、一緒にご飯を食べました。

そのとき、『大丈夫だよ、楽しみにしてるよ』 って。もっと言うと 『イケるイケる、お前ならイケる』みたいな軽い感じだったので、僕は内心、『いやちょっと待ってくださいよ、そんな簡単に言いますけどね!』っていう(笑)。

でも話が進んでいくと、『これは4人の中で誰が主演だっていう作品じゃない。その日の空気やテンションでみんなが主役になるし、みんながフィーチャーされる。その中でお前は絶対負けるなよ!自分を信じて突き進んで、木村伝兵衛として勝ち残れ!』 という力強い言葉をもらったりしました」


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――その共演者たちについて、現段階での印象などを聞かせてください。


「文音さん(水野朋子役)についてはほとんどお会いしたことがなくてこれからなのですが(取材時)、多和田秀弥(熊田留吉役)と黒羽麻璃央(大山金太郎役)は 『テニミュ』 で一緒にやっていて、

秀弥とはつい最近の 『テイク・ミー・アウト』 から立て続けに一緒。僕にとってはガチガチに緊張感のある空間で、秀弥というリラックスできる存在がいるのは、助かるなと思っています。人間性を知っているからやりやすさもあるし、遠慮せずに言い合えるし。

対して麻璃央とは 『テニミュ』 以来で、当時の彼は知っているけど、それ以降の経験を積んできた彼は知らないので、ほぼ初共演のような気がしています。

麻璃央はつか作品も岡村さんの演出も初めてで、秀弥は岡村さんが演出するつか作品は初なのかな。でも岡村さんが選んでいるから絶対に間違いはないだろうし、熱量のある2人なので、何も心配なところはありません」


――味方さんは、生前のつかさんに会ったことは?


「ないんです。 『新・幕末純情伝』 で初めてちゃんと知りました。でも初めて作品に触れて、いろんな資料をもらったり、つかさん本人を知っている先輩方に思い出話を含めていろいろ聞いたり。

『あの作品のこのシーンがカッコいいんだ』 みたいなことも、たくさん教えてもらいました。つかさんの作品は"泥臭い"と言われると思うんですけど、その泥臭さって、泥団子を究極まで磨くと、ものすごく綺麗な球になるじゃないですか。

僕はああいうイメージなんです。でも砕いたら泥なんだ、みたいな。本来はけしてきれいじゃないものが光っている。光らせているものは、演者や演出家やいろんな人間たちの愛じゃないのかなって」


――つか作品を経験すると、覚醒したようにひと皮むける若手は多いです。味方さんもその一人かと思いますが、どういう点が今までの演劇体験と違うんでしょう?


「僕はもともとミュージカルを目指してこの世界に入って、去年 『新・幕末』 のひとつ前に 『グランドホテル』 という大作のミュージカルに出演させていただきました。子供の頃から観てきたミュージカル俳優たちの中に自分がいて、まさに夢見ていた世界でした。

そしてもちろんすごくいい経験で勉強になったのですが、何か心が埋まらない感じが正直あったんですね。

それが次に 『新・幕末』 をやったときに、「これか!」と。ミュージカルの場合は歌や音楽や振付という、助けてくれたり補ってくれるパーツがいっぱいあるんだけど、つか作品の場合は自分の体ひとつと台詞だけで、ドン!と居なくてはならない。

自分の力量全てが試されるし、演劇における稽古の大切さも改めて感じさせてくれます。『新・幕末』はド頭、僕演じる桂小五郎の長台詞から始まるので、責任もものすごく感じたし。

でもこれだから演劇って楽しいっていうか、言い方が軽いですけど(笑)『演劇やってるな』 って実感があるんです。岡村さんとも 『どうだ、演劇やってるだろ?』 『演劇やってますね。楽しいですね!』って会話を交わしたりして」


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――アツいですね! 今、お話にも出ましたが、味方さんが木村伝兵衛をやることに驚いたのは、もともとミュージカル志望であることを知っていたからでもあります。
むしろ演劇(ストレートプレイ)のど真ん中の作品・役であり、大きな方向転換とも感じるのですが、そのあたりの心境を聞かせてください。


「ミュージカルや歌うことは今でももちろん好きなんですけど、好きなこととやれることって違うんだなって思ったり......いや、それ以上に演劇の深さや楽しさに触れたんです。
一番初めは3年前に 『恋するブロードウェイ♪ vol.3』でスズカツ(鈴木勝秀)さんの現場を経験したことで、『歌わんでいい』と言われて。

そのときは歌う舞台だったので 『え?』 と思いながら(笑)、『お前は30まで芝居を勉強すりゃいいんだよ』 って話をしてくれたことがすごく胸に響いて。
ミュージカルをやるにしても、芝居というものをちゃんと背負っていたいなという気持ちになっていったんですね。ミュージカルだってベースはお芝居なので、そこを背負ってやったら歌うことを含めていろんなことが変わってくるはず。 『グランドホテル』 でご一緒した成河さん(元★☆北区つかこうへい劇団)を観ていても、やっぱり魅力が全然違うんですよね。

空気をガラッと変える力があって、自分もそうありたいと思うので。そのとき、成河さんに 『つかさんの作品に出るんです』 と相談したら、『イイよ!良介だったらイケるよ!』 って言ってくれたのがうれしかったですね」


――いろんな成長や気持ちの変化を飲み込んでの味方さんの木村伝兵衛! ますます楽しみになりました。


「 『白鳥の湖』 が大音響で流れるあのオープニングを想像しながら台本を読んでいるだけで、『わー、スゴい!』って思うんです。

木村伝兵衛は色っぽいっていうか、エロいというか。『 「白鳥の湖」......そっか、ヤラしいな 』 って。

ちょっとワケわかんないかもしれないですけど(笑)。もちろん年齢が上の人たちがやることで出る色気ってあると思うんですけど、逆に僕しかできない、若さゆえのエロさが出たらいいなと思っています」


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ライター:武田吏都

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【公演情報】

熱海殺人事件 NEW GENERATION

作:つかこうへい

演出:岡村俊一

会場:東京・新宿 紀伊國屋ホール

期間:2017年2月18日(土)~3月6日(月)


出演:味方良介 / 文音 / 多和田秀弥 / 黒羽麻璃央




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