016 年の兵庫・宝塚大劇場は、宙組公演『Shakespeare ~空に満つるは、尽きせぬ言の葉~』『HOT EYES !!』からスタート。1月1日、その幕を華々しく開けた。
1幕のミュージカル『シェイクスピア』は、没後400年の節目を迎えたウィリアム・シェイクスピアの謎に包まれた半生を、妻アン・ハサウェイとの夫婦愛を軸にフィクションとして描いた心温まる物語。舞台は16世紀末のイギリスで、劇作家を夢見て詩を書く毎日を送っていたウィリアムは、後に妻となるアンや、ウィリアムをロンドンの劇団へと導く貴族ジョージと出会い、成功を収めるが...。『夏の夜の夢』をイメージしたような森の中でのアンとの出会い、『ロミオとジュリエット』をイメージしたようなバルコニーで愛を告げるシーン、そして『冬物語』『ジュリアス・シーザー』ほか、さまざまなシェイクスピア作品の劇中劇を挿入しながら、リズム感のある展開で楽しませてくれる。貴族たちのコスチュームの数々も華やかで、見た目にも楽しい。
トップスターの朝夏まなとは、才能を秘めた純粋な青年から、言葉が洪水のように次々と溢れ出てくる絶頂期、欲や野望にまみれた社会の中で次第に言葉が出てこなくなっていくウィリアムの浮き沈みを、繊細に表現していく。そんなウィリアムの支えとなるのが、娘役トップ実咲凜音演じるアンだ。ウィリアムと出会った頃は可憐で無邪気に、結婚後は一歩引いて見守るように演じ、移りゆくふたりの距離感を丁寧に見せている。また真風涼帆は、ウィリアムの才能を一早く見出し、パトロンとなるロンドンの貴族ジョージ・ケアリー役。妻ベス(怜美うらら)の言葉によって欲望をどんどんとむき出しにし、ウィリアムを操っていく存在だ。さらに専科より沙央くらまが、宮内大臣一座の看板役者リチャード・バーべッジ役で出演。ウィリアムを奮い立たせる人物として、存在感たっぷりに演じている。
第2幕のショー『HOT EYES !!』は、全シーンで大階段を使用したダイナミックなステージ。実咲を中心とする娘役による華やかな幕開きから、男役がシックにキメるタンゴ、セクシーなクラブシーンなどを次々と展開。宙組のパワーみなぎる迫力の群舞を見せる一方で、見惚れるほどに美しい朝夏のソロシーンがあったりと、観客の心を揺さぶり、躍らせていく。2016年の観劇初めにぴったりの、ドラマチックなミュージカルとホットなショーに、心満たされるはず!
庫・宝塚大劇場公演は2月1日(月)まで。また、2月19日(金)から3月27日(日)まで、東京宝塚劇場にて上演される。東京公演のチケットは1月17日(日)より一般発売開始。なお、チケットぴあでは一般発売に先駆けて、インターネット先行抽選(プレリザーブ)を1月12日(火)11時まで受付中。
取材・文:黒石悦子 撮影:三上富之