生と死を巡る、生々しい世界観。ダンス公演「原色衝動」稽古場インタビュー

写真家・荒木経惟とダンサーの異色のコラボレーション、「原色衝動」~パラダイスとインパルス~
出演のキム・ソンヨン&白井剛にインタビュー!

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強烈な色彩と圧倒的なインパクト。
男性の身体を撮ることに優れた写真家、荒木経惟の写真と、韓国を拠点に世界で活躍しているダンサー・コレオグラファーのキム・ソンヨン×日本の同世代のダンサー・コレオグラファーの白井剛との異色のコラボ・ダンス作品「原色衝動」が9月26日(土)より京都劇場 春秋座にて上演される。


写真とダンス、鮮烈なビジュアルと二人の男性の肉体。写真は舞台上に映像として映しだされる。
このコラボレーションの話を聞いた時、舞台の様子が想像できない人は多いだろう。
出演のダンサー、キム・ソンヨンと白井剛に話を聞いた。

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撮影:荒木経惟 
往生写集-東ノ空・PARADISE より

-荒木さんのイメージ写真はいかがでしょうか。彼の作品集の一つ「往生写集-東の空・PARADISE」という作品の中からの出展になりますが、ヴィヴィッドで生々しい世界観ですね。
どのようにダンスと組み合わせるのでしょうか。

白井:今回のコンセプトを聞いてやってみたいと思ったのは、『難しい』と思ったからですね。ご覧の通り、残酷さを見せつつも、荒木さんが持っているセンチメンタルなビジョン、痛みだったり寂しさだったりを感じました。楽園、パラダイスというタイトルがついていながらも、あの世とこの世、生と死を繋ぐ狭間を漂っているような危うさを感じさせるんですね。でもリアルな描写から、そういった曖昧な不安感と折り合いながら生きているっていう現実感も感じさせる。この作品の持つパワーと向き合うにはどうすればいいか、どうすれば生身の肉体と絡めるのかを突き詰めて考えました。

キム:荒木さんは独特の世界観を持っていらっしゃって、生きていく中での障害、壁が現れていくんですけどそういった全ての壁をぶち壊して、壊した後の世界観ってものをはっきり持っていらっしゃる方ではないかと感じています。彼の作品はある意味とてもポジティブで、写真を見た人に希望や力を与えるメッセージなんじゃないかと思います。

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↑躍動感のある動き

-世界観を元にダンスで表現するってとても難しいと思うのですが、お二人でどのように構築されていくのですか?

キム:単純に写真を説明するような動きにはしたくないんです。そういった表現は客観的ではなくなってしまうので...。その写真と僕が向き合った時に、自分をどこまで率直に表現できるかって所を大切にしています。時には写真をわざと見ずに、頭のなかに入っているイメージに身体をぶつけてみるっていう瞬間もあります。そのあと、周りで見てくださるスタッフさんに意見を聞くんです。自分の動きが周りからどう見えるのかという客観性を大事にしています。
僕がどう感じて動くか、僕の動きを見てお客さんがどう思うのか。主観と客観とのバランスをとっているうちに、どこかで荒木さんの目線と僕の目線がつながっていくような感覚を覚えるんです。それを1つずつ捉えていくような作り方をしていますね。

白井:写真を見ているというよりは、あまりにも写真のインパクトが強いので写真に「見られている」ような気がしますね。これだけエネルギーが強い作品の映像が舞台上に来る訳で、どうやったら対等に立てるのかを考えると、写真からエネルギーや印象をもらっているだけではバランスが良くないんです。僕達自身のなかから出てくるものを響かせないと写真と調和しないので、そのためにはやはり他者、キムさんとの対話が重要になります。
自分以外の誰かと向き合って作品を作ることがリアリティを産むと思うんですよね。

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撮影:荒木経惟

-これだけ強烈なインパクトを持つ写真とその前で繰り広げられるダンスという、お客様にとって観るべきものが2つある稀有な舞台ですね。荒木さんが撮影された、お二人の写真についてはいかがですか?

白井:この衣装は用意していったものだったんですが、お互いにバラバラに着せ合ってみようとか発想が生まれましたね。上半身はキムさんで僕は下半身だったり。靴下も片っぽずつバラバラだったりで。荒木さんの目線は瞬間瞬間のキャッチ力が凄くて、僕自身がレンズになってしまったような(笑)、後ろの景色を映し出すような感覚になりました。

-「原色衝動」というタイトルに関して、お客様にどういったことを作品を通して伝えたいですか?

キム:難しいテーマに思えますが、まずは肩の力を抜いて、気楽に世界観を楽しむつもりで見てください。写真と、その世界の中に二人の育ってきた環境が違う男がいる。その場で共感し合い踊っていることを考えてください。荒木さんの写真を動きとどう繋げて見るのかは、お客様の目線にかかっているのかなという気がします。

白井:人って、世界って、共存することだと思うんですよね。それは一人ではなく、二人でないと表現しにくいんです。キムさんと出会った頃は、東アジア情勢があまりよくなくて。ヘイトスピーチに代表されるように、どうして日本と韓国でいがみ合うんだろう?と思っていました。彼と一緒にやっていると、ただ人としての違いがあるだけなんですね。そのあたりも加味して見ていただけると、面白いと思います。

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↑思いもかけない動きが二人から飛び出します。

公演は9月26日(土)・27日(日)に京都芸術劇場・春秋座 にて上演されます。
特異な世界観と、躍動する身体の動き。初秋の京都にて楽しんでみては?
チケットは好評発売中です。





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