宝塚歌劇団、101年目の幕開けは、あの『ルパン三世』!
9月29日、雪組公演『ルパン三世-王妃の首飾りを追え!-』『ファンシー・ガイ!』の制作発表会見が都内にて行われました。
もはや国民的作品と言っても過言ではない、モンキー・パンチ氏原作『ルパン三世』。
今年は映画版も話題となっています。
この作品の世界初のミュージカル化を、宝塚歌劇団が行います。
さらに今回の公演は、雪組新トップコンビ、早霧せいな、咲妃みゆの大劇場お披露目でもあることも話題。
宝塚の王道の上演形態である、芝居とショーの二本立て、併演のショー『ファンシー・ガイ!』とともに、宝塚らしさ満載の楽しい舞台が楽しめそうです。
今回の『ルパン三世』の物語は、フランスのベルサイユ宮殿で行われている"マリー・アントワネットの首飾り"の展覧会にルパン一行が出没、首飾りを盗もうとした瞬間、革命前夜のフランスへタイムスリップ! ルパンはどうなる!? ...といったオリジナルストーリー。
会見はメインキャラクターに扮した雪組メンバーによるパフォーマンスから始まりました。
流れる音楽はあの名曲『ルパン三世のテーマ』!!
作曲の大野雄二さんからは
「僕がおよそ40年も前に作曲した楽曲が、100年もの歴史のある宝塚歌劇の舞台で演奏されることをとても嬉しく思います。『ルパン三世のテーマ』を作曲した時には、『ルパン三世』とともにこの楽曲がこんなにも長く人に聴き続けられることになるとは予想すらできませんでしたし、まさか宝塚歌劇の舞台で演奏されることになるとは夢にも思っていませんでした。あのメロディがどのように雪組の皆さんによって花開くのか、そして僕の愛するルパンたちがどんな風に宝塚の舞台で活躍するのか今から楽しみで仕方ありません」とメッセージが寄せられました。
早霧せいな as ルパン三世。
赤いジャケットに黄色いネクタイという「ルパンカラー」の衣裳に加え、足の長さやどこか飄々としているところがルパンっぽいです!
ビジュアルについては
「まずこの作品が決まってから一番多かった質問が「もみ上げはどうするの」でした...」と早霧さん。
「私自身も悩みましたが、演出の小柳先生とも相談した結果、やはりビジュアルは宝塚っぽさを残しながら自分の髪でいってはどうだろうか、もみあげも自然な感じで、と。でも男役って普段ももみ上げを描いているので...。頭(髪型)は本当に短く、(映画の)小栗さんくらい短くカットしようかなとも思ったのですが、今回はショーも付く2本立てなのでそのあたりも考え、このスタイルにしました」と話していました。
咲妃みゆ as マリー・アントワネット
こちらは「ザ・宝塚」なビジュアル!
演出の小柳さん曰く、「咲妃の清楚かつ面白い、新鮮な感じをあえてマリー・アントワネットをやらせたら面白いんじゃないかと」とのこと。
また「"宝塚といえば『ベルサイユのばら』"というところを入り口にしています。宝塚ファンの方はそれだけではない、ということがわかっていると思いますが、初めて宝塚を見るルパンファンの方の入り口として宝塚的なものを」とも。
早霧さん&咲妃さんの並びもユニークさが出ていて期待!
早霧さんの仕草も、女性に弱いルパンっぽい。
夢乃聖夏 as 銭形警部
この日のパフォーマンスは、夢乃さんの「今日はこのホテルにルパンが現れると聞いてやってきたんだが...。(記者席に向かって)なんだお前らは?さてはルパンの仲間か?...違う、記者?」と言った軽妙な台詞から始まりました。
そのしゃべりっぷりは、アニメの次回予告のよう。
すでにキャラクターに成りきったパフォーマンス!!
スミレコードが心配になるこの表情!
夢乃さん、『Shall we ダンス?』でも、映画版では竹中直人さんが演じた役柄を怪演していました。
銭形警部もきっとすごいことをやってくれるに違いありません...!
「なんだとぉ、ふざけるな、ルパーン!」の言い回しもハマってます!
望海風斗 as カリオストロ伯爵
この作品より、花組から雪組に組替えになる望海さん。
咲妃さん同様、ルパン一行がタイムスリップした先で出会うキャラクターですが「望海が組み替えで雪組に来ますので、ルパンファミリーではなく新しい役に配置することで、"加わってくる"というのを上手く見せられないかなと」と、その配役について話す小柳さん。
大湖せしる as 峰不二子
もはや言葉はいらない、このセクシーさ...。
彩凪翔 as 石川五エ門
小柳さんは「彩凪のクールですっとしたところ」が五エ門にしっくりきた、と配役の理由を語ります。
彩風咲奈 as 次元大介
同じく配役の理由は「彩風のちょっとふてぶてしい仕草」が次元に合っていると小柳さん。
いやぁ、皆さん似合います!
似合う上に、どこかそのナリキリっぷりを楽しんでいる感じも伝わってくるのです。
会見には、原作者のモンキー・パンチ氏も臨席。
「『ルパン三世』が出来てから今年で47年。50年を前に、こういう大きな催し物をしていただくのは僕にとってもすごく嬉しいことですし、驚きでもあります。楽しみはものすごくあるのですが、どういうものが出来るかまったく想像がつかない。これから観ていただける皆さんにも楽しんでいただけるものが出来ると思っていますので、ものすごく期待しています」とご挨拶。
また、この日のパフォーマンスについての感想は
「今日のパフォーマンスを拝見してすごくゴージャスな感じを受けましたので、これが大舞台になったらどうなるんだろうと今からワクワクした思いでいます。ものすごく新鮮な感じ。(早霧ルパンの)動きもルパンの動きにぴったりだなと思いましたし、新しいルパンを見ているような感じがしました。今度また連載を始めるとすると、今日見たようなルパンを出してもいいかなと思います(笑)。スマートですしオシャレ。ルパン三世というキャラクターを作って本当に良かったと思います。僕も原作者というよりお客さんと一緒になって楽しみたい」。
『ルパン三世-王妃の首飾りを追え!-』脚本・演出を担当するのは小柳奈穂子さん。
「『ルパン三世』という有名な作品の脚本と演出を担当できることを心より光栄に思っています。「え、宝塚でルパン三世?」という反応と同時に、「いつかは見たいと思っていた」という方も多い。(宝塚と)共通するところもあり、意外性もある作品だと思います。『ルパン三世』という作品が持つスタイリッシュさと、宝塚が持つゴージャスさを上手く融合させて、お正月公演でもありますし、楽しんでいただける作品を作っていければと思います。ロマンスももちろんありますので、そのあたりも楽しみに観に来ていただければと思います」とご挨拶。
また、非常に有名な原作ですが、
「あくまでも宝塚歌劇公演なので、そこを変えてしまうのではなく、<宝塚の世界にルパンが遊びにくる>という風に、("ルパン"と"宝塚"を混ぜて)真ん中に寄せるのではなく、"コラボレーション"という形でみせたい。ルパンファンの方にも観ていただいて「ルパンだな」と思っていただくと同時に、「宝塚ってこういうところなんだ」と思っていただけるようにしたい。(異色の組み合わせのようだが)本質にいくと、"楽しませたい"ということや"エンターテインメント"ということとか共通点が見えてきます。モンキー・パンチさんとも先ほどお話させていただいたら「オシャレさが欲しかったんだ」と仰っていました。宝塚もスタイリッシュさを求める部分がありますので、その共通点から宝塚のエッセンスにいって、両方を活かすことを考えたい。うまく色と色を混ぜるのではなく、色と色が並び立つ面白さ。両方のファンに楽しんでいただける作品を目指したい」と宝塚版へ意欲を見せます。
さらに配役の決め手や見どころについては「雪組はわりと一緒にやっているので、自分の中で特に悩むことはなく、これはこの人でしょうと最初から決まっていた感じです。見どころは見せ場になるシーンがあるというより、キャラクターキャラクターで見せ場をみせて、"新生雪組"のイメージを全体で与えられたらと思います。次々見せ場があり息もつかせぬサスペンス、かつ"役者の顔見世"が出来ていくということを狙っています」と構想を語っていました。
『ファンシー・ガイ!』作・演出担当の三木章雄さんは
「やはり一番の眼目は、ふたりのトップ披露ということで、新鮮さと冒険と、そういうものがいっぱい溢れているような楽しいショーを目指したい」と話し、
見どころとしては「ショーなので全編見せ場。ちょうど100周年が終わり、新しい1年目がスタートします。長年僕が観てきた中で、宝塚で面白いものは<男役は男役らしく、娘役は娘役らしく>の対立。支え合うんですが同時に火花が散っているという状態。譲り合って前にいきましょうねというヌルいものではなく、ビシバシ戦いながら前進していくというものが表現できたらと思っています。タイトルの<ファンシー>というのは可愛い、綺麗という意味もありますが、気ままな、わがままなという意味があります。今回チギ(早霧)がトップを張っていくにあたって望みたいのは、宝塚の男役の中心になる人物は、おじきをしてよろしくお願いしますというより、お客さまを牛耳って引きずりまわしてぽんと突き放すタイプの方が僕は好き。ですのでチギだけでなくショー全体で、客席に対してある意味挑戦的にぶつかっていく、お客さまからの厳しい反応を恐れて縮こまるよりはどんどんわがままに舞台ではじけて、結果を全部引き受けるという男らしさを、特に中心のチギには表現してもらいたい。そういうことを色んなシチュエーションの中で、ショーとして見せられたらいいなと考えて作っているところです。見せ場の連続になります」と意気込みを話していました。
この作品が大劇場お披露目となる、雪組新トップスター・早霧せいなさん。
「お芝居の方では『ルパン三世』という日本国民なら誰でも知っている作品で、その中でもルパンを演じることができて光栄に思っています。小柳先生とは『Shall we ダンス?』でもご一緒したばかりなので、その時に作り上げた、楽しみながらお稽古していったという空気感を大切にしながらこの『ルパン三世』も作っていけたら。三木先生とはお久しぶりなのですが、私や咲妃のこと、そして新生雪組のことを考えて、クールに、そしてホットにと、すごく充実したショー作品を作っていただいているので、私も自分の魅力をさらに出せるよう頑張っていきたいと思います。宝塚歌劇101周年目のお正月公演ということで、皆さまの期待も大きいと思いますので、その期待をいい意味で裏切り、期待以上のものがお見せできるよう、お客さまに楽しんでいただけるよう精一杯頑張っていきたいと思います」とご挨拶。
そして同じく大劇場お披露目である新トップ娘役・咲妃みゆさん、
「早霧さん率いる新生雪組の大劇場公演の第1作目にあたるこの公演で、素晴らしい2作品にめぐり合うことができて、わたし自身幸せに思っています。一生懸命頑張りたいと思いますのでよろしくお願いいたします」とおっとりとした口調でご挨拶しました。
ふたりには大劇場でのトップお披露目公演が『ルパン三世』と知ったときの気持ちと、どう演じてみたいか、という質問が。
「この作品だとお聞きしたときは正直驚きました。ですが逆手に取って、すごく人気のある作品なので、この作品の力を借りてより宝塚を知っていただけるチャンスになるんだなと思うと嬉しくもあり頑張りがいのある作品にめぐり合えたなと思って光栄でした。
ルパンを演じるにあたってはやはり原作のルパンというイメージが皆さんの中にあると思いますので、ルパンらしさ、ルパンっぽさを自分の中に取り入れたい。でもルパンのカッコよさや、ちょっとひょうきんな部分は、男役にも通じるところがあると思うので、ルパンっぽさがより自分を引き立ててくれるんじゃないかなと思うので、まずはそこを大切に演じていきたいと思っています」と早霧さん。
咲妃さんも「私も上演の話を伺って最初はとても驚いたのですが、幼い頃から大好きな作品でしたので、その作品に自分が出演できると思うととてもワクワクしています。マリー・アントワネットをさせていただくというのは、娘役として、宝塚歌劇団の一員としてとても光栄なこと。今回は小柳先生の演出のもとでのマリー・アントワネットですので、先生の思い描くアントワネット像を忠実に再現していきたいと思います」とのことでした。
さらに「ルパンと自分の共通点はあるか」と問われた早霧さん、
「モノは盗まないので...そこは共通点ではないのですが(笑)。ただ私はクールに決めたくても決めきれないところがあるんですが、そういうところはもしかしたらルパンの「せっかく宝石を盗んだのに、女の人の心も盗んだのにむくわれない」というところがちょっと似てるんじゃないかと思うんですが...どうでしょう。どう?」
と咲妃さんにマイクを向け。
突然ふられた咲妃さん、「私が言うのはおこがましいんですが...早霧さんはたくさんのファンの方の心を盗んでいらっしゃると思います...」と小さい声で答え、場内拍手喝采!上手い!
早霧さん、アタマを掻く仕草もルパンっぽいのです!
宝塚版『ルパン三世』、どんな化学反応を起こすのか、楽しみですね!
取材・文・撮影:平野祥恵
【公演情報】
2015年1月1日(木・祝)~2月2日(月)宝塚大劇場
一般発売:11/29(土)
2015年2月20日(金)~3月22日(日)東京宝塚劇場
一般発売:1/18(日)