俳優集団D−BOYSが今回挑むのは、演劇集団キャラメルボックスの人気シリーズ『風を継ぐ者』の新作『駆けぬける風のように』。
10周年を迎えた彼らは、成井豊がDステのために書き下ろした作品にどう立ち向かっているのか。
始まって間もない稽古場に潜入し、主人公の立川迅助を演じる和田正人、坂本龍馬を演じるキャラメルボックスの岡田達也、そして、沖田総司役に挑戦する陳内将に話を聞いた。
この日の稽古の冒頭は、殺陣を徹底することに費やされていた。稽古は始まったばかりだが、立ち回りの動きはすでにそれぞれの体に浸透している。
岡田によると、キャラメルボックスでの同シリーズより、今回は殺陣のシーンが多いそうだ。
「僕たち、歌えて踊れて体が動かせる集団だと思われてるみたいですけど(笑)、全然違いますからね(笑)」 と和田は苦笑するが、
ならばなおさら、その習得ぶりは驚愕に値する。
この充実した稽古の理由を、
「これはキャラメルボックスのみなさんが発して下さっている空気が大きいと思います。僕たちが本当に萎縮せずに、リラックスした状態で稽古ができてるんですね。だから、自由な発想も生まれてくるし、すごくクリエイティブな空間にいるなと感じられるんです」
と和田は分析。
陳内も「こんなことしたら怒られるかなとビビったり、遠慮したりすることなく、ひとりの役者として立てている感じがする」 と胸を張る。
『風を継ぐ者』は、新選組を舞台にしたシリーズ。稽古をしながら「新しい新選組が見えてきた」 という岡田は、Dステならではの舞台になることを期待する。
「D−BOYSという集団の勢いは、新選組もしくは龍馬率いる陸援隊と重なる部分が多い。だから、舞台上でしゃべって動いてる彼ら自身が、この舞台の見どころになると思うんです。いわば、登場人物の魅力はD−BOYSの魅力。ひとり残らず輝いてほしいなと思っています。」
その声に応えるように、「舞台は、僕と和田ニイが出て行くところから始まるんですけど、そこでどんな気持ち良さを味わえるんだろうと今からワクワクしますし。一気に新選組の世界に引っ張っていけたらと思っています」 と語る陳内。
和田も覚悟を見せる。
「この作品は、D−BOYSのこれからが見える作品にしなければと思ってるんです。受け身ではなく、自分たちで生み出し、責任を負っていく。そういう意識を持った集団になるための第一歩にしたいと思っています。」
15作目のDステは新時代に突入する。
取材・文:大内弓子