1月13日、世田谷パブリックシアター企画制作『Tribes トライブス』が新国立劇場 小劇場にて開幕しました。
イギリスの女性劇作家ニーナ・レインが書いた戯曲で2010年にロンドン初演、その後オフ・ブロードウェイのほか世界各地の劇場で上演され、ローレンス・オリヴィエ賞最優秀新作演劇作品賞にノミネートされるなど高い評価を得た作品です。
注目の日本初演となる今回は、2010年の「おそるべき親たち」で一気に演劇界の注目を集めた気鋭の演出家・熊林弘高が演出を担当、田中圭、中嶋朋子ら、華と実力を兼ね備えた充実のキャストが出演。
熊林演出は、暗闇に灯る明かりが象徴するかのように、不器用な登場人物たちの抑圧された感情を、美しくも隠すことなく浮かび上がらせ、障害のある人が抱える悩み、それに対応しようとする人々の戸惑いなど、演劇の枠にとどまらない社会的な問題を投げかけると同時に、人間同士が本当の意味で分かりあえるコミュニケーションはありえるのか?という普遍的な問題に、刺激的に迫ります。
●ものがたり●
耳の不自由な末子ビリー(田中圭)が、初めてできた魅力的な彼女シルビア(中嶋朋子)―その彼女も実は耳が不自由だった―を家族に紹介することをきっかけに、家族間に不協和音のさざ波が立ち始めます。家族間におこる精神的な躓きから、果てにはビリーの兄まで「言葉」をうまく発することができなくなっていきます。「言葉」という現象をひとつのカギにして、親しかったはずの人たちのコミュニケーションの危うさが、繊細なセリフと表現(手話)で描き出されていく刺激的な一作です。