ミュージカル『シスター・アクト』の製作発表が1月17日、都内にて行われました。
作品はウーピー・ゴールドバーグ主演で大ヒットした映画『天使にラブ・ソングを...』が原作。
これをウーピー自身が共同プロデュースしミュージカル化、2009年にロンドンで初演されたもの。
北米ツアー、ヨーロッパ各国でも大評判となった作品が、ついに日本初上陸を果たします。
映画でウーピーが演じたヒロイン・デロリスは、驚きのWキャスト、瀬奈じゅん&森公美子が演じます。
他にも石井一孝、大澄賢也、吉原光夫、村井國夫、鳳蘭といった個性豊かな実力派が勢揃い!
ノリのいい音楽とダンスに彩られた、パワフルでコミカルなミュージカルが、この顔ぶれで!!
製作発表の場ですでに和気藹々の雰囲気と爆笑の渦、キャストの皆さんの笑顔でさらに開幕が待ち遠しくなりました。
物語は、黒人クラブ歌手のデロリスが、ある殺人事件を目撃したことでマフィアに追われ、修道院に逃げ込んだことから起こる大騒動を描いたもの。
修道院が舞台、ということで...会見は都内の教会にて行われました。
ステンドグラスがキレイで、お洒落!
演出を手掛けるのはコメディ・ミュージカルの名手・山田和也さん。
「『天使にラブ・ソングを...』という映画は、ミュージカルではないですのですが、音楽と笑いに溢れた、とっても素敵ないいコメディでした。今回は、そのミュージカル版。映画と舞台版とでは少し設定が違っておりますが、ほぼ同じです。
『シスター・アクト』の舞台は1977年、この年は映画『サターデー・ナイト・フィーバー』が公開された年。ということはその時代を席巻していた音楽はディスコミュージックだったわけです。なのでそこで聞こえてくるのはその時代のディスコサウンド。ビージーズだったりドナ・サマーだったり、ぼくらの世代にとってはとても懐かしいもので、デロリスの台詞にも「ドナ・サマー大好き」と出てきたりします。このミュージカルは実際にその時代の音楽が使われているわけではないのですが、その時代の雰囲気をもった音楽ををアラン・メンケンが作曲していて、それが見どころのひとつでもあります。アラン・メンケンは『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ』やディズニー映画の『美女と野獣』『アラジン』(と言ったところで「アラジン...?あ、アラジンがここに...」と石井さんを見る山田さんでした)『ポカホンタス』など素敵な音楽を作っています。
そして一番の見所はストーリーです。しがない日常を送っている人たちが音楽によっていきいきと輝いていくさまや、価値観の異なる対立する人たちが音楽を通じて心を通わせていく...そういう素敵なストーリー。おカタい修道院...廃止されようとしている修道院なのですが、そこに映画ではウーピー、こちらでは瀬奈さんと森さんががギャングから身を隠すために不本意ながらやってくる。でもそこは修道院だから、規律通りに生活しなくてはならなく、デロリスはそれがイヤでたまらない。そこで起こるカルチャーギャップや、自分が歌っているディスコミュージックを尼さんたちに教えていく、そのことがまた波紋を呼んだり笑いを起こしたり、新しい人間関係が生まれたり、素敵なことがどんどん起こります。
いま理屈をしゃべっていますが、理屈はどうでもいいので、この顔ぶれで素敵な音楽を、笑いを堪能して頂ければと思います。素敵なショー的な豪華なシーンもたくさんありますので、どうぞご期待ください」
とたっぷり見どころを話してくれました。
そして破天荒なクラブシンガー、ヒロイン・デロリスは注目のWキャスト!
まず瀬奈じゅんさんが
「この作品は女性が主導権を握って進行していくミュージカル。日本ではそういうミュージカルが少なくなってきているので、出演者の皆さん、とてもパワフルな女性ばかりですので、パワフルにとにかく楽しく演じたいと思います。よろしくお願いします!」
とご挨拶。
同じくデロリスを演じる森公美子さんは、修道女の格好で登場。
「森さんだけ衣裳?」と、会場内、誰もが「?」となったであろう空気を察してか、開口一番
「実はこの格好、自前でございます。...なんと自前で持っていました!」
とのことで、場内、しょっぱなから爆笑です!
「色々な部分で本当に面白い、こんなコメディがあったんだ、って思う作品です。今は暗いミュージカルが多いですが(笑)、こーんな面白いものは久しぶりだと思います。ぜひ皆さん会場に足を運んで頂き、思いっきり笑っていただいて、ちょっと感動する場面もありますので、ぜひエンジョイして頂きたいと思います。Wキャストですが、「形」が違うWキャストです。瀬奈さんも楽しい、私も楽しい。必ず二度観て頂きたいと願っております!!皆さんのお越しをお待ちしております、アーメン!」
と豪快かつ滑らかに話す森さんでした。
このWキャストについては、やはり話題集中。
瀬奈さんは森さんことを
「もう、とにかくパワフル! 先ほど女性が主導権を握る物語、とお話しましたが、森さんはパワフルで、存在感にその要素をすごく持っていらっしゃる方だと思うのでそこを見習いたいです」とコメント。
対して森さんは、
「私はなんでこのWキャストなんだろう、と思ったんです。違い過ぎるでしょ! 普通ですと、だいたい似たようなタイプの方を持ってきますよねえ? 『レ・ミゼラブル』とかでも。いまだに信じられなくて。この会見が終わったら、やっぱり変えましょうと言われるんではないか、今日が見納めかも、と思っています(笑)。瀬奈さんは踊りも歌も素晴らしいし、吸収するところだらけ。色々と教えてください。(山田さんに向かって)山田さん、これは同じダンスの振付とかあるんですかねえ? 息の切れ方が多少違うので申し訳ございません、今からちょっとだけ緩くお願いします...!」
と話していました(笑)。
しかし山田さんは
「どちらを見ても、この人以外考えられない、という風になるはず、ゼッタイそうなります」
と自信のコメント!
その意図するところは、
「それぞれの良さがあると思うのですが、おふたりの共通点は、非常にポジティブで明るい雰囲気を持っていらっしゃるところ。それが、この役の一番大切なところだと思います。そういう意味ではこのふたりはとても似ている。皆さんは似ていないと思うとしても、おふたりが持っている大本の何かはとても似ている、周りの人たちを幸せにする何かがある。それは、この作品に不可欠なものだと思います」とのことで、なんとなく納得。
会見後の囲み取材の場でも、このWキャストに対する話題は沸騰(!?)で、
瀬奈「私は森さんの方がデロリスのイメージがあって、逆に私の方が「私でいいんだろうか」という思いがありました」
森 「え!? (瀬奈さんのように)スタイル抜群じゃないですかデロリスって」
瀬奈「いえいえ...!」
(取材陣から、森さんは和製ウーピーですね、との声)
森 「私は"みちのくのウーピー"、くらいかな。和製までいかないって!。いまだに信じられなくて。今日、会見をやって「本当なのかな」となりましたが、昨日まで信じてなかった。作品の中に太ったシスターが出てくるので、その役だって!と言いながら今日まできています。でも瀬奈さんスタイルいいからなー...。あんこ型の私でよろしいんでしょうかねー」
瀬奈「違いを楽しんで、見比べていただけたら楽しいですよね、きっと」
森 「おっしゃるとおり。あのダンスを一緒にやるかと思うと...違う踊りになると思いますが、頑張らせていただきます!」
...といったやりとりも。
さて、デロリスの幼なじみ、ちょっと気弱な警察官・エディは石井一孝さん。
「この作品にふたつ、縁を感じています。ひとつは、このエディというのは汗っかき。"スウェッティ"エディという役だそうで、僕は"ミュージカル界3大汗っかき"の座をいまだかつて譲り渡したことがなく、それが呪わしい自分の体質だったのですが、今回は誇らしく思っております(笑)。役作りせずともその"スウェッティ"なところは表現できると思います! それから、実は映画『天使にラブ・ソングを...2』で、吹き替えをやらせて頂きました。20年くらい前ですが、歌が好きだけれど気弱な黒人の男の子の声をやって そこから20年経って警察官役。勝手に縁を感じています」
とのこと。
このあと石井さん=汗っかきの話題もずいぶん共演の皆さんにひっぱられていました...。
ギャングの親玉で、デロリスの元恋人・カーティスは大澄賢也さんと吉原光夫さんのWキャスト。
会見には吉原さんのみご出席です。
吉原さんは「映画『天使にラブ・ソングを...』は大好きで何度も見ていまして、映画でのハーヴェイ・カイテルの役を演じさせて頂きますが、ハーヴェイがすごく好きなので、お話をいただいたときに光栄に思いました。デロリスの愛人の役ということで、その辺は深く強く!役作りしていこうと思っています。殺人のシーンもありますので、全力で殺しにいこうと思います。よろしくお願いします!」
とのことでした。
吉原さんといえば『レ・ミゼラブル』のバルジャン&ジャベールの印象が強いですが、コメディ作品での吉原さんも、楽しみです!
オハラ神父役は村井國夫さん。
「今回は、先ほど瀬奈さんが仰ったように圧倒的に女性が強いので、男が霞んじゃうんくらい本当にパワフル。(修道服の森さんを見て)飛び道具まで持ってきちゃって...今日はずっと僕、笑っているんですが、これが本番じゃなくてよかったです。僕も『天使にラブ・ソングを...』は大好きで、サウンドが我々の青春というか、よく聴いた曲。この時代を懐かしく、皆が一生懸命やっているのを静かに見守って、楽しみたいと思います。本当に面白いコメディです。先ほど森さんが仰ったように暗~い芝居が日本人は得意です(笑)。コメディはなかなか上手くいかないんですよね。でも今日で安心しました(笑)。素晴らしい作品になると思います」
と目を細めて話していらっしゃいました。
そして修道院長役は鳳蘭さん。
「私も『天使にラブ・ソングを...』は5度程見ています。村井さんが仰ったようにサウンドがすごくノリやすく楽しくて、大好きな映画です。まさか自分がカチンコチンの修道院長を演じることになるとは思っておらず、ずっとデロリスばかり見ていたので、今度は修道院長を集中的に見て勉強したいと思っています! カチンコチンな要素が私にはあまりなく(笑)、明るいほうなので、気を付けて一生懸命カチンコチンになろうと思います!」
"カチンコチン"を繰り返す鳳さんにも、笑いが起こった会見場でした。
その後、質疑応答では「映画と舞台の一番の違いは」という質問が。
「映画はストレートプレイ、これはミュージカルというのが大きな差」と山田さん。
「設定はほぼ一緒なんですが、映画はネバダ州のリノという、ラスベガスをもうちょっとみみっちくしたような、日本で言ったら錦糸町みたいな...(錦糸町に失礼です!と瀬奈さんからツッコミ)、失礼しました撤回します、今はスカイツリーもありますしね!」
山田さん、常々感じていますが...サービス精神旺盛(笑)です。コメントに必ず笑いを入れ込んできます!
「その、ギャンブルタウンのリノが、舞台ではフィラデルフィアになっていたり、石井さん演じるエディとデロリスの関係が少し違っていたり、ストーリーの後半でデロリスが修道院を出て行くあとが舞台版の方がエピソードが豊富になっていたりしています。ただ、観た後に味わう高揚感や幸福感は同じだと思います」
といったところで森さんが「映画より舞台の方がもっと(幸福感が)ありますよもっと! 私、映画より最後すごく泣きました!」。
そして山田さん、「ああ、最後いいよね~。そうですね。カルチャーギャップがあるということはそこに意見の相違、価値観の相違があり、ストレスが生じる。そのストレスを音楽が癒していくということはが、映画とミュージカルに共通するメッセージ。そういう意味では『サウンド・オブ・ミュージック』のような音楽の利用の仕方です。つまりミュージカルの根源的な魅力を舞台版は持っています。人と人が声を揃える、ハーモニーを作る、ということで音楽は豊かになっていくのですが、ミュージカルではそれが実体験できる。生の声が併さって広がっていく、聴く、という喜びが劇場にはあって、それがミュージカル版の、より映画よりいいところだと思います」
とのお話に、一層、期待度が増したのでした。
会見では、Wデロリス、瀬奈さん&森さんによる歌唱披露も。
シャウトもカッコいい瀬奈さん、
ゴスペルシンガー顔負けの森さん、
ふたりともノリノリでパワフル!
聴いている方も楽しくなる、そんな歌唱披露でした。
Wキャストなので実際の舞台ではもちろん一緒に歌うことはなく、今回限りのデュエットとなりましたが、ご本人たちも楽しかったらしく「もう一回歌いたい!」と口を揃えていましたよ。
↑Wデロリス、気持ち良さそうに歌っていらっしゃいました!
取材・文・撮影:平野祥恵
公演は、東京を皮切りに、全国6大都市にて行われます。
6月1日(日)~7月8日(火) 帝国劇場(東京)
7月12日(土)~13日(日) 厚木市文化会館 大ホール(神奈川)
7月16日(水) 岩手県民会館
7月19日(土)~21日(月) 東京エレクトロンホール宮城
7月25日(金)~29日(火) シアターBRAVA!(大阪)
8月2日(土)~3日(日) 愛知県芸術劇場 大ホール
東京公演のチケットは3月8日(土)に一般発売開始です。