渡辺謙主演、三谷幸喜作・演出の舞台『ホロヴィッツとの対話』が2月11日、東京・PARCO劇場で開幕した。
渡辺の舞台出演は12年ぶり、PARCO劇場の舞台に立つのは実に28年ぶりとなる。
今作は、三谷のライフワークともいえる光の中を生きる表舞台の人とその光を支えるバックステージの人のドラマを描く海外芸術家シリーズの第3弾。
20世紀のピアノの巨匠、ウラディミール・ホロヴィッツと、彼の演奏を支え続けたピアノ調律師フランツ・モアとの、ある一夜の会話を中心に展開する物語だ。
登場人物は4人。調律師のモアを渡辺謙、彼の妻エリザベスを和久井映見、天才ピアニスト・ホロヴィッツを段田安則、その妻ワンダを高泉淳子がそれぞれ演じる。
1976年5月のある日、ニューヨーク郊外のモアのリビングを舞台に、天才と職人、ふたりの間で交わされた会話からみえてくるものは何か?その答えはぜひ劇場で確かめて欲しい。
公演は東京・PARCO劇場にて3月10日(日)まで。その後、大阪・イオン化粧品 シアターBRAVA!にて3月13日(水)~31日(日)まで上演。東京公演のチケットは希望公演日の当日朝10:00~昼12:00までチケットぴあ当日券予約専用ダイヤル0570-02-9997にて受け付け。大阪公演は一般発売中。
開幕に先立ち、2月8日に舞台の一部がマスコミに公開され(フォトコール)、出演者4人と三谷さんが登壇して会見が行われました。
げきぴあではその様子をたっぷりご紹介いたします!
公開フォトコールでは、まず三谷さんが舞台に登場。
続いて、この作品についてこんな風に語ってくださいました。
「僕がたまたまフランツ・モアの回想録を読んだとき、25年間ずーっとホロヴィッツと付き合ってきたのに、たった1度だけモアは自分の家にホロビッツ夫妻を招待したという記述がありました。これは何かあるな、とイメージを膨らませて書きました。ホロヴィッツは非常に個性が強い人です。子供のように無邪気ですごく神経質、猜疑心が強い。そんなやっかいな天才に25年間付き合ってきたフランツ・モアとはどんな人だったのか?」
フォトコールのあと行われた会見の模様をレポートいたします。
――明日(9日)からいよいよプレビュー公演が始まりますね。稽古を重ねてきていかがですか?
渡辺
「リズムをすごく大事にするお芝居なんで大変でしたね」
段田
「そうですね、緊張しましたね。初日大丈夫かなと不安ですね」
和久井
「朝から呼吸の仕方を忘れそうで...。あんまり手が震えるので近くにあるものを掴んだりしてました」(←和久井さんの緊張する姿をみて三谷さんが「ソファがガタガタ揺れてた」と横からツッコミをいれ、笑いを誘っていました)
高泉
「初めてづくしで緊張しました。セリフがずっと掛け合いなので大変です」
三谷
「こういうフォトコールってあまりやらないでしょ!? このシステム自体が緊張しますね。何に向けてしゃべっているのか分からないまま...。でもあの~、ダメだしをするとですね」
渡辺
「何でここでダメだしを!(苦笑)」
三谷
「基本的にはよかったですよ。いいテンポだったし。多少セリフのグチャグチャはありましたけど、この調子でお願いします!」
――渡辺さんは久しぶりの舞台ですね。
渡辺
「稽古中はぜんぜん問題なかったですね。自転車ってこうやって乗るんだよねと体が覚えていた感じがあった。劇場に入った初日は異常に興奮してくたびれ果ててしまった(笑)。
PARCO劇場は僕が演劇人として育てていただいた小屋なので、客席の感じだったり舞台袖の感じが懐かしくて、楽しくラクな気持ちでやらせてもらってます」
三谷
「渡辺さんとはこんなにがっちり仕事をすることがなくて。稽古からずっと渡辺謙を見てて、なんてせっかちな人なんだろうと(笑)。だいたい走ってますね、移動するときには。すっごく細かくてアイディアとか言ってくれて、煩わしいって言ってるわけじゃないんですよ。(この一言に渡辺さんが「ぷっ」と吹いていました)ちょっとでも目が合ったら"三谷さん、あそこなんだけどさー"ってくるので、なるべく目をあわさないようにしてました」
渡辺
「それで合わないんですね、目が(笑)」
三谷
「今まであまりこういうタイプの俳優さんを知らなかったんで、ある意味とても嬉しいし、刺激になっています」
――和久井さんは満を持して初舞台を迎えられる心境はいかがですか?
和久井
「知らないことだらけで。顔合わせは浴衣で参加したほうがいいのかとか」
三谷
「僕は以前からみなさんの知らない和久井さんの引き出しに気づいていた部分があったので、早くみなさんにお見せしたいと思ってました。今回"ニュー和久井"をたっぷりご覧いただけると思います!」
渡辺
「どっかの温泉宿みたい(笑)」
――高泉さんは三谷作品初登場ですが、参加されてみていかがですか?
高泉
「とてもすばらしいですね。書き手の方の演出は役者にとって幸せです。言葉をあらわすのって難しいんだなとつくづく感じました。まだまだ未熟だなと思っています。私も新しい自分を出そうと思っていますので宜しくお願いします」
――段田さんは三谷さん作品2度目の参加ですね。
段田
「三谷さんはいつも穏やかでとても居心地のいい稽古場です。いい本番を迎えられるんではないかとワシは思うね(←ホロヴィッツの口調)」
三谷
「僕が学生のころ、(段田さんが所属していた)夢の遊眠社はすごい勢いがあったんですよ。周りの演劇に関わる若者はみんな"遊眠社"って言っていたので、僕はぜったい観るまいと思ってました。野田秀樹も大キライ(※)だったし、その一の子分の段田安則とは絶対一緒に仕事はすまいとかたく誓ってたんですけども。意外にお会いしてみるといい方で。もっと早く会っていればよかったな(笑)」
(※三谷さんは野田さんともNHK大河ドラマ『新選組!』や舞台『おのれナポレオン』で一緒にお仕事をされています)
――(扮装姿をみて記者が)段田さんはホロヴィッツそっくりですね。
段田
「いい人ですね!日本のジイさんに見えたらどうしようかと(笑)。少しでもホロヴィッツに見えればこれほどの幸せはありません!」
――(関西の記者から)大阪で楽しみにしていることはありますか?
渡辺
「段田さんとぼくはTファンなもので。スケジュールをチェックしたんですがちょうど公演がある時にオープン戦があったりするので、陰ながら応援してます」
段田
「大阪は公演数も多いんですよね。ちょうど練りこんでいい感じになっていると思うので、大阪のみなさん楽しみにしてください!」
三谷
「大阪の方は楽しもうという気持ちが強くていいお客さんなんですよ。なのにアンケートは厳しかったりするんですよね。あんなに笑ったのにこんなこと書くんだって(笑)」
和久井
「気を抜かないよう、気をつけます」
キャストと三谷さんのやりとりが楽しく、チームワークの良さが垣間見えた会見でした。
公演はPARCO劇場にて3月10日(日)まで。
東京公演のチケットは、チケットぴあ当日券予約専用ダイヤル(0570-02-9997)にて、希望公演日の当日朝10:00~昼12:00まで電話予約を受付ます。
大阪公演は、イオン化粧品シアターBRAVA!にて3月13日(水)~31日(日)まで上演します。チケットは発売中。
取材:金子珠美(ぴあWeb編集部)
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