●ヒラノの演劇徒然草●
1月30日、都内にて『ロックオペラ モーツァルト』公開稽古が行われました。
この作品は2009年フランスにて初演、ヨーロッパでは150万人を動員した作品です。
「ロックオペラ」と冠しているようにその音楽も魅力的で、CDも大ヒット。
日本でもミュージカル通の間では長らく上演が待たれていた注目作です。
ミュージカルでモーツァルトと言えば、クンツェ&リーヴァイ作品『モーツァルト!』が日本でもよく知られていますが、同じようにモーツァルトの人生を主軸にしつつも、こちらでは映画『アマデウス』と同様サリエリが重要人物として登場。
類まれな才能を持つ天才でありながら、どこにでもいる若者であったモーツァルトと、
彼の才能に誰よりも早く気付きながら、その才能に嫉妬した宮廷楽長サリエリ。
今回の上演では、そのモーツァルトとサリエリを、山本耕史と中川晃教が日替わりで交互に演じるのも大きな話題です。
さらに演出はブロードウェイの話題作『スパイダーマン』を手がけたフィリップ・マッキンリー。
フランスのオリジナル版とも異なる、日本オリジナルの『ロックオペラ モーツァルト』が誕生します。
マッキンリーは「この4週間、稽古を進めてきましたが、日本のデザイナー、スタッフ、キャストの皆さんは、ブロードウェイと比べても劣らない素晴らしさ」と最初の挨拶で太鼓判。
「日本でやる『ロックオペラ モーツァルト』は、この東京公演のために吉川徹さんによって台本が書き直されました。特にサリエリとモーツァルトの関係を表すためにセリフが追加になっています。ですから、この日本で上演する『ロックオペラ モーツァルト』は世界初の公演となります」というような話も。
また振付のTETSUHARUさんからは「メインキャストの山本さん、中川さんも素晴らしいですが、(日本版で)新たに、言葉を発しませんが肉体表現でモーツァルトやサリエリの苦悩というものを表現していくキャラクターが登場します。アンサンブルもとても力強いバックアップでメインの方々を盛り上げています。そのあたりも楽しみにしていただきたい」と注目ポイントを話しました。
この日の公開稽古では3つのパート(シーンとしては5場面)が披露されました。
まずは冒頭のシーン。
山本モーツァルト、中川サリエリで。
こちらはコロレド大司教=コング桑田さん。
コロレド大司教と対立するモーツァルトは、「あんなやつのために曲を書くなんてまっぴら」とザルツブルクを発つ決心をします。
こちらはモーツァルトの父・レオポルド役の高橋ジョージさん。
最初の、レオポルド&ナンネールのナンバーもとってもドラマティックで良い曲なんです。
ナンネール(モーツァルトの姉)は菊地美香さん。
ザルツブルクを離れるわけにはいかないというレオポルドに対し、自分の人生なのになぜやりたいことをやってはいけないのかと言うモーツァルト。
山本さんの声はロックが似合います。
続けて酒場のシーン。
酒場の主人は、鶴見辰吾さん!
お次は、女性のシーンです。
モーツァルトをめぐり、後に彼の妻になるコンスタンツェと、その姉アロイジアが火花を散らします。
4つ打ちのリズムがダンサブル、♪Na~Na~♪のコーラスが頭に残る、これまた印象的なナンバー『冷たい土の中へ』。
コンスタンツェは秋元才加さん、アロイジアは元宝塚のAKANE LIVさん。
秋元さん、お飾りのアイドルではありませんよ!
この表情、見てください。
動きもキレイ。
最後は1幕後半の場面です。
モーツァルトが栄光と名声を手にしようと、ザルツブルクを捨てパリへ行くシーンです。
『君の胸のタトゥー』。
明るくポップなナンバーです。
こちらは、中川さんのモーツァルトで。
衣裳もほとんどかわってませんが、上記のサリエリ役の時とは、がらりと表情が違います。
この演じわけを見るためにも、両バージョン観に行きたい!
最後にキャストのご挨拶。
山本さんは
「今、僕はアタマからほんの10分くらいを演じたんですが、汗がひかないくらい。これだけパワフルで休む間もなくどんどん展開していくような作品になっています。あっという間に終わってしまうような、毎秒毎秒が楽しめるような、そんな作品にフィルがしてくれています。フィルについていく毎日が続いていますが、時には厳しく時には優しく、みんなを前進させてくれています」。
中川さんは
「とにかく今回はふたつの役を耕史さんと僕で演じ、お客さんに観て楽しんでもらうという、ここに楽しさがたくさんあります。この2役をフィルの合図によって切り替えなくてはいけない、さっきまでサリエリをやってたけど次の瞬間モーツァルトをやらなければならない、逆もしかり、という部分がこの稽古の一番つらいところでもありますが、耕史さんとふたりでこの作品を創り上げていく過程が今はとても楽しいです。その楽しさがモーツァルトというキャラクターにも繋がっていければ。今『君の胸のタトゥー』という曲をやらせていただきましたが、この曲はすごく歌いやすくて、みんなも口ずさめるメロディ。音楽という意味でもこの作品がたくさんの日本のお客さまに届いて、親しんでいただけるように頑張っていきたいと思います」と意気込みを。
またデビュー作でもモーツァルト役を演じた中川さん(前述の『モーツァルト!』です)は「僕はモーツァルトという役は2回目なんですが、全然違うモーツァルトを作っていて、本当に楽しくできているのもフィルのおかげ」というような話もしていました。
また演出で驚いた事、という質問では
山本さんが
「フィルは日本語がわからないのに、滑舌が悪い時に意外とばれる(笑)。"もうちょっとセリフをはっきり言ってくれ"とか。驚きました」と言えば、
中川さんも
「僕もです。なんでフィル、セリフわかるんだろうと思ったらある日、『みなさん、僕は日本語のセリフを全部アルファベットにした台本を持ってます』と仰ってて、なるほど!と(笑)」
と話していました。
秋元さんは「稽古はじまって1週間で、『みんな頑張ったから1週間記念パーティをしよう』とピザとか色んなものを頼んでくれて。稽古のときは集中してやらせていただいて、楽しむときは楽しむという切り替えが初めてだったので、アメとムチじゃないですけど、驚きました」とマッキンリー氏の演出についての感想。
鶴見さんは
「とにかくいろんな刺激的なことがあります。自発的に俳優が動くように指示をだしてくれる。日本でもアメリカでも、いい演出家っていうのは黒い服を着て、怒鳴りやすいんだな、蜷川幸雄と同じだなと思って(笑)」。
で、大笑いするマッキンリーさん。
キムラ緑子さんはコンスタンツェの母、セシリア役。
「最初にどこに立つとかの"位置決め"からはじめるんですが、いつも私は"ぼちぼちやっていこうか"という感じの芝居の作り方なので、すごい勢いで睨まれ、多分私が一番怒られました(笑)。カーテンコールの私の位置は〈3.7に立つ〉とかそういうレベルなんです! だからすごく最初は戸惑いましたが、刺激的で緊張感のあるいい稽古場。そしてどんどんすごい素敵なものが出来上がっていて、あと照明が入って衣裳着たら、どんな素敵なものになるだろうと私自身がわくわくしている状態です」とコメント。
高橋さんも
「本当に滑舌悪いとか、アメリカ人に言われたくないよね(笑)。あと俺に対して『ジョージ、エレガントに』って言うの。真逆ですよ!でもやっています。うちの家族も驚いています。それから主演のふたりもそうですが、みんな歌が上手いので、僕は1曲目に歌いますが、すごいプレッシャー。でも今日聴いて感動していただいたと思いますが、これがロックオペラ、今までのミュージカルとはひと味もふた味も違うところです。僕はフランス版のオリジナルを観て感動して泣きましたけど、それを完全に超してますから!」。
サービス精神満載のコメント。
報道陣を指さしながら「1文字でも多く書いてくださいね!」ときっちりアピールする高橋さんでした。
マッキンリーさんは挨拶やお話もユーモアに溢れていて、彼を中心にカンパニーがまとまっているのがよくわかる稽古場でした。
進行上にはありませんでしたが、マッキンリーが出演者全員を呼んで急遽全員でのフォトセッションが始まったりも...。
公演は2月11日(月・祝)から17日(日)に東京・東急シアターオーブ(プレビュー公演あり)、2月22日(金)から24日(日)に大阪・梅田芸術劇場 メインホールにて。チケットは発売中です。