昨日、6月24日『THAT FACE~その顔』が千穐楽を迎えました。
3月から稽古をスタートしたお芝居が無事幕を下ろしました。
とても感慨深いものがあります。
前回は劇場のお話をしました。今回は劇場の板の上に乗ったお芝居がお客様にどの様に命を与えられるかについてお話したいと思います。
よく芝居はナマモノなどと言われます。行き当たりばったりみたいで良いイメージではありませんね。でも僕が思うに芝居はお客様の前でもっと繊細に大胆に変貌するものです。
我々が稽古の過程でやっていることはあいまいな瞬間を残さないようにすることが目標です。ですからキャストもスタッフもお互いの約束に乗っ取ったことをきちんとやっています。ところが初日、まずお客様が入る事で舞台の上の空気も一変します。
繊細に仕事をしていればしているほど、皆敏感にその空気に反応するのです。
そうして芝居が一皮剥けます。これが大胆に変貌する一歩になります。それを日ごと繰り返すうちに芝居がまるで生き物のように成長していきます。その最後の日が千穐楽になるのです。
普通、我々は初日を目指して稽古します。ですからキャスト・スタッフの思いが純粋に出ているのが初日とも言えます。それが色々なお客様に触れて、練れていったのが千穐楽の芝居です。どの日のお芝居もお楽しみいただけるように作っております。
でも芝居はやっぱりナマモノ=生き物。生まれてから成長していく段階にもそれなりのお楽しみがあります。それも味わって頂けたらと思います。
短い間ではありますが、伊藤大のげきぴあブログご愛読ありがとうございました。
今度は是非劇場でお目にかかりましょう。