【演劇ニュース】
男役トップスター・真飛聖(まとぶ せい)の退団公演となる宝塚歌劇花組公演『愛のプレリュード』/『Le Paradis!!(ル パラディ)』が2月4日、兵庫・宝塚大劇場にて開幕した。
2008年5月、『愛と死のアラビア』の大劇場お披露目から約3年。大劇場では『太王四神記』や『外伝ベルサイユのばら』、『虞美人』、『麗しのサブリナ』で貴公子や悲劇の名将、スマートな大人の男など多彩な役柄を演じてきた真飛。熱がこもった演技、心地よい歌声が魅力的で、公演を重ねるにつれ、花組の顔として円熟味や大人の色気も出てきていた。
そんな真飛が最後に挑むのは、どこか影を持つ、しかし一本筋の通ったボディガード、フレディーだ。世界大恐慌の最中、故郷のサンタモニカに仕事で数年ぶりに戻ってきたフレディー。護衛する娘との恋やかつての相棒との友情、家族への想いなど、殺伐とした背景の中で人間の温かい愛を描いた作品に仕上がっている。ラストステージらしい"旅立ち"を感じる演出にも注目だ。偶然にも再会を果たすかつての相棒ジョセフを演じるのは壮一帆(そう かずほ)。フレディーとの再会で気持ちが変化していく難しい役どころだが、持ち前のクールさと柔軟な演技力で魅せており、クライマックスでのふたりの見せ場も見ごたえがある。
宝塚歌劇花組『愛のプレリュード』/『Le Paradis!!(ル パラディ)』 撮影:三上富之
第2部の『Le Paradis!!』は、パリの街を舞台に、華、夢、時をテーマにしたレビューだ。耳なじみの良いテーマ曲、男役全員での黒燕尾のダンス、真飛とセクシーな衣裳を着た壮とのデュエットダンス、花組生全員が真飛を温かく見送るシーンなど、見どころがたっぷりと用意されている。テンポの良い、きらびやかでエネルギッシュなステージで、真飛自身もキラキラと輝きを放ち、それを支える花組生も安定していて頼もしい。
花組の圧倒的なパワーが感じられる3時間。ぜひ劇場で味わってほしい。公演は、3月7日(月)まで宝塚大劇場にて。その後、3月25日(金)から4月24 日(日)まで東京宝塚劇場で上演。兵庫公演は現在発売中。東京公演は2月20日(日)より一般発売開始。なお、チケットぴあでは東京公演のインターネット先行抽選「プレリザーブ」を2月9日(水)から2月15日(火)まで受付。