●ヒラノの演劇徒然草●
男優集団Studio Lifeの次回公演『11人いる!』の製作発表が先週末に行われました。
Studio Lifeと相性の良い、萩尾望都作品の舞台化です。
ニュースではピックアップでのご紹介しかできませんでしたので、こちらでもう少し詳しくお伝えいたします。
物語の舞台は宇宙。"宇宙大学"入試、難関をくぐり最終テストに達した受験生に課せられた課題は、10人ひと組で53日間宇宙飛行を成し遂げること。だが宇宙船・白号に乗り込んだ受験生たちは、10人のはずが11人いた。スクランブルを知らせる緊急ボタンを押せば、全員不合格となる。誰が"11人目"なのか、その者の意図は何かがわからないまま、彼らは共同生活をはじめるが......。
先の読めないミステリー要素も含んだSFストーリーです。
公演はWキャストで上演。
メインキャストのタダトス・レーンは山本芳樹と松本慎也。優れた直感力を持ちながら、なぜか白号の中ではその直感が狂ってしまうという役どころです。
「現時点でこの作品が一体どうなるのか想像もつかなくて、その分楽しみ。萩尾作品の素晴らしい世界と、Studio Lifeの持っている世界がいい化学反応を起こして、うまく融合できるように、これから稽古に精進していきたいと思います。あとは、若さを保っていきたい(笑)」
(山本芳樹)
「閉鎖された密室の空間における集団心理という、演じる側からしたらとても燃えるシチュエーション。観にきてくださったお客様には、目の前で繰り広げられるナマの極限状態の人間の感情のぶつかり合いを楽しんでいただければ」
(松本慎也)
女の子のような外見を持つフロルベリチェリ・フロルには、及川健と三上俊。
「学生時代にアニメーション部という部活に所属していて、その時にアニメになったこの『11人いる!』を見た覚えがあり、不思議なご縁を感じています。白号のみんなと良いコミュニケーションをとりながら一生懸命つとめていこうと思います」
(及川健)
「フロルは活発で負けん気が強くて、言葉遣いや礼儀をちょっと知らない部分もあるのですが、心の中にはすごく優しさと思いやりを持った人物。見た目も中身も天使のような存在になれたらいいなと思います」
(三上俊)
王位を継いだばかりで、力試しで受験したというバセスカには青木隆敏と曽世海司。
「また萩尾先生の作り出した登場人物になれることにすごくドキドキしています。バセスカ王は王様という地位の役で、こういう役柄は初めての挑戦なのでこれまたドキドキしているのですが、威厳のある態度と高貴なオーラをきちんと纏えるよう演じたい」(青木隆敏)
「威厳のある態度と高貴なオーラ」と青木さんが言った瞬間、なぜか団員のみなさんから笑いが。
「僕にとってもたぶん演じてきた中でいちばん位の高い役。ついに王様まで上り詰めたかなという思いがあります(笑)。もともとSF好きなので、この作品を読んだ時の衝撃と感動はいまでも忘れられません。SFの面白い要素がすべて作品のなかに凝縮されています。ずっととやりたいなと思っていた作品にこうして参加させていただくことができて、嬉しくてわくわくしています」(曽世海司)
曽世さんはこの日の司会も務めていらっしゃいました。
"石頭"と呼ばれる外見を持つ、グレン・グロフには山崎康一。
「萩尾先生の作品は追えば追うほど逃げていくので、どこまで追えるか挑戦していきたいと思います。代々木アニメーション学院さんの力で、僕と林(勇輔、ヴィドメニール・ヌーム役)が特殊メイクをやる、ということで非常にドキドキしています。楽しみです。期待してください」
原作者・萩尾望都氏も「演出の倉田さんが女性ですからリリックな面が出せるでしょうし、役者さんはみんな男性ですので、それとは相反する面がうまく出せるんじゃないかなと思っております。今から期待が高まっています」と舞台化を楽しみにしている様子でした。