出演者を紹介したい。
まずは今回初めてご一緒する、
高橋一生くん、野波麻帆さん、河原雅彦さんの三人からだ。
最初に一生くん。
ダメ出ししづらい役者だ。
いや、べつにこれは、彼がダメ出しをするたびに睨んでくるとか、口答えしてくるとかいう意味ではない。
実際、僕が何を言ってもとても素直に「はい」と、即、対応してくれる。
つまり「ダメ出し」と一口に言っても色々あるわけで......
役者の芝居に否定的な意見を言うだけじゃなく、僕の場合はむしろ芝居が上手くいっているからこそ、さらに発展させてこんなこともやってみてくれないか、と提案する場合の方が多い。
で、そういう意味での「ダメ出し」を一生くんにしようとする時、けっこうためらうのである。
抽象的な言い方になるが、一生くんは、役へのアプローチの仕方として、
何かを足していくよりも、引いていく方法を取っているのだと思う。
経験で身に付けたものなのか、元々そういうやり方をしていたのか知らないが、
その削ぎ落とし方、選別の仕方は大胆でありながら的確である。
なので、そこに何かを加える演出は慎重にならざるを得ない。
下手したらそれは余計なものになるからだ。
引いている最中の役者に、
決して余計じゃないものを足す演出、
または、そこからさらに引いてしまう演出、
これらはいずれも高度である。彼からは高度な演出を求められている。
と、書いてしまったが、関係者はくれぐれもこのことを一生くん本人に言ってはいけない。
(彼はたぶんここは見ないだろう)
今しばらくは僕に、「高度だ」などと冷や汗をかかず、常に涼しい顔で稽古場にいる演出家、というポーズを続けさせてもらいたい......。
さて、このまま野波さんと河原さんの紹介もしたかったのだが長くなった。
また今度。
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