●よこやまのステージ千一夜●
昨日、本日(7月2日)に初日の幕が開く
世田谷パブリックシアターの「醜男」のゲネプロに行って参りました。
ドイツの若手劇作家 マリウス・フォン・マイエンブルクによる2007年の作品で、
本作は一昨年、同劇場でリーディング上演されたもの。
人間の闇を見つめるシュールなこの作品を
河原雅彦さんがどう演出するのかが楽しみです。
出演者はたった4人。
山内圭哉さん
主人公のレッテ役。
内山理名さん
レッテのクールな妻、セクシーな老婦人、外科医の助手の3役。
斎藤工さん
レッテの部下とマザコン息子の2役。
入江雅人さん
レッテの上司と外科医の2役。
同劇場初主演の山内圭哉さん、入江雅人さんの演劇経験豊富なふたりに、
NHKドラマ『チェイス~国税査察官~』の若社長役などでも好演していた斎藤工さんや、
今まで舞台『篤姫』の篤姫、『リア王』のコーディリアをはじめ、何かと耐える役が多かった内山理名さんが、
大胆な役どころでどう切り込んでいくのか??
期待が持てます。
こんなお話です。
企業の製品開発部にいる技術者のレッテ(山内圭哉)は、ある新製品の開発に成功するのだが、その上司(入江雅人)はレッテを素晴らしいとたたえながらも顔が醜すぎるという理由で、彼を製品のプレゼンから外してしまう。代わりにプレゼンをしたのはレッテの部下(斎藤工)。これにショックを受けたレッテは整形手術を受け、誰が見ても惚れるような顔だちになったのだが、それだけでは仕事も私生活も上手くはいかなくて......!?
シンプルな舞台構造のなか、山内さん以外の出演者3人が複数の役どころを演じわけます。
一見誰が誰だかわかりにくいとお思いになる方もいらっしゃるかもしれませんが、
そこのところはセリフでもきちんと補っていまして、
わかりやすくなっていますので、ご安心を!
山内圭哉さんは、笑いを誘う間合いも笑いを外す間合いもおてのもの。
軽やかに演じながらも主人公レッテはだんだん追いつめられていきます......。
そして。
内山理名さんは......放送だったら、もうアウト!というかなりキワドいセリフを喋っています。ここでしか見られない内山さんの姿ですので、お見逃しなく。
妻役からセクシーすぎる老婦人役まで、大奮闘です。
一方、ノーブルな魅力を振りまくのは、斎藤工さんです。
マザコン息子役と、罪の意識がないまま自分が起こす行動でじりじりとレッテ(山内圭哉)を追い込む部下役を、丁寧に演じています。
入江雅人さん扮する外科医と上司は、端から見ればヒドイ役ですが、これがヒドイ人にあまり見えないのは入江さんの演技ゆえ、ですね。
顔がダメなら、じゃあ顔変えちゃえばいいじゃん!?という
ゲーム感覚並みのリセットの仕方に、驚かされますが、
ここまで飛躍しなくても現代の日本にも、こういうことってありますよ、ね?
顔を変える=本来の自分に気づいてもらえない
"アイデンティティーとはいったい何ぞや?"という問題を
ブラックテイストで描いたこのコメディ。
河原雅彦さんの軽やかな演出で、笑いの多いポップな作品に仕上がっています。
「醜男」は、7月2日(金)から12日(月)まで、世田谷パブリックシアターで上演されます。
チケットは現在発売中です。