2019年6月12日アーカイブ

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ピピン-3.jpg©GEKKO

「旅の彼方に探す"生きる意味"を...Got to find my corner of the sky(この空のどこかに自分だけの場所があるはず)」
志高く、一人旅にでる若者の心情を描いたスティーブン・シュワルツの名曲『Corner of the Sky』。ジャクソン5を始め、世界中のアーティストによって歌い継がれるこのナンバーこそ、ブロードウェイミュージカル『ピピン』の主役・悩める王子ピピンのテーマだということをご存知だろうか?

1972年の初演から1944公演のロングランを記録した『ピピン』。2013年にダイアン・パウルスの手によってリバイバル上演され、トニー賞4部門を受賞したこともミュージカルファンなら記憶に新しい。

そんな『ピピン』日本版公演が6月10日、東急シアターオーブにて開幕した。ピピンを演じるのは、ミュージカル界の王子・城田優。演出はダイアン自身が行い、セットもブロードウェイで使用されたもの。幕があがると同時に、目の前に広がる魔法のようなきらびやかな光景に客席は沸きに沸いた!

ピピン-1.jpg

©GEKKO

本作は、神聖ローマ帝国初代皇帝の息子・ピピン王子の旅と成長を描いた物語。大学を卒業した彼は、自分が特別な存在であることを証明すべく戦争に赴くが失態を晒し、生きる目的を探す旅へとむかう。享楽、陰謀、革命、焦燥、虚無...。様々な感情に翻弄される彼だったが、農場で暮らす未亡人と出会い感慨深い結末を迎える。そして、この壮大なストーリーをサーカス一座がアクロバティックに表現するのが、本作最大の魅力である。

ピピン-4.jpg©GEKKO

「この作品のジャンルは"ピピン"。ミュージカルを超えた大作です。実際にやってみないと成功するかどうかもわかりません。そこを含めてお客さんに楽しんでいただくのが、この演出の意図なんだとダイアンさんに言われました。僕の言ってる意味、見ればわかります!」

そう熱く語るのは城田優。その言葉通り、登場シーンから奇想天外! なんとサーカス一座の中央、高く掲げられた紙が貼られたフープを突き破って、輪くぐりでステージに降り立ったのだ。見事な着地を決めると会場は拍手喝采。続いて熱くて甘い『Corner of the Sky』が響きわたると、熱気は一気にヒートアップした。

ピピン-2.jpgのサムネイル画像©GEKKO

さて、そんなピピンを導く進行役、リーディング・プレイヤーを務めたのは本作でミュージカルデビューを果たすCrystal Kay。

開幕直前、城田はこう明かした。「今回、演出したのはシルク・ド・ソレイユ出身のアーティストやトニー賞を受賞したクリエイティブスタッフたち。そんな世界的権威のある人たちに、僕らはブロードウェイの上のレベルを求められたんです。僕も頑張りましたが、彼女は本当に凄いです。見事にその要求を超えてきていますから!」

その言葉は大げさではない。彼女が、フォッシースタイルと呼ばれるダンスで悩めるピピンを誘う姿は実に悩ましく、空中ブランコの上で華麗に舞い、熱唱する姿には圧倒される。そればかりか本格的なイリュージョンを次々連発するのだ。アーティストから世界的エンターティナーへ、秘めたる才能の爆発に興奮が止まらない!

さらに、見どころは続く。祖母を演じる中尾ミエと前田美波里(Wキャスト)も、空中ブランコを披露。もちろん命綱はなく、ただただ妖艶な姿に言葉を失った。そして、継母を演じる霧矢大夢の魔性のダンスにはため息が止まらず、未亡人役の宮澤エマの愛くるしさには頬が緩みっぱなしに!

ほか、チャールズ王に今井清隆、サーカスアクロバットはブロートウェイの出演者が来日し、手に汗握るパフォーマンスを繰り広げる。公演は6月10〜30日まで。以降、7月6~7日(名古屋・愛知県芸術劇場)、12~15日(大阪・オリックス劇場)、20〜21日(静岡市清水文化会館マリナート)にて上演。6月17日と22日はぴあ貸切公演も。チケット発売中。

取材・文:浅水美保

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げきぴあブログをご覧の皆さま、こんにちは。FUKAIPRODUCE羽衣です。

6月20日(木)~開幕の『ピロートーキングブルース』@本多劇場、
新メンバー・松本由花がご紹介する出演者、第四弾は、キムユス田島冴香です。

④_1 yusu.jpg
*
主観ですが、意外にもクレバーなユスさん。粛々と、黙々と、何かをしていることが多いような気がします。黙々とマイクスタンドを解体し、また黙々と組み立てるなど。

男前を浪費するタイプなのでしょうか、そこまで武器にしていない様子なのにいつのまにか刃先がこぼれていて、それもまた黙々と研いでなんもなかったみたいな顔してるかんじです。そういうルーティンなのかもしれません、生き様が。

意外にもクレバー、の、意外にも、がとても失礼な気がしてきましたが続けます。もちろん外見云々の話ではないです。たまに情けない声が出たり、想定外の何かにぶつかった時のユスさんの挙動は、人としてのほどよい隙で、だからこそ心遣いもあるのだと思います。

想定外の何か、というのは、だいたいの人が察知した時点で押し黙ったり立ち止まったりしてしまうようなところを、中空を見つめながら堂々と真ん中を歩きぶち当たる、ようなイメージです。どうなっちゃうんだーと身を乗り出して見てしまいます。地下闘技場に来た人の気持ちってこんなかんじなのかな。いや、ユスさんは賭け馬にしちゃ意思があるので正確には違います。

そんなキレのあるユスさん節と、どこに連れて行かれるかわかんないジェットコースターに乗れる『ピロートーキングブルース』、おたのしみに。

④_2 tajima.jpg
*
かっこいいたじまさん、ですが、中性的と言うには母性がありあまるひと。いつも自然体で飾り気ない雰囲気を持っていて、隅々まで行き届く気遣いにはあこがれます。

腰が抜けたように笑うところもすきです。舞台でも稽古場でも、その場の雰囲気に肩まで浸かって楽しんでいるのが伝わる振る舞いは見ていて気持ちよく、はっと気付かされたり、ここはたのしい場所だーと思わせられます。

たじまさんの自然体は舞台の上でも健在ですが、単なる「こういう人も必要」みたいなバリエーション的役割ではありません。歌い踊るたじまさんは、いつも全力で、鬼気迫るものすら感じます。良い意味で、今以外を生きることなんて考えてません!という光線が飛んでくるんじゃないかと思うほどです。

そういう全力さとか、かがんで肩を並べてくれるところとか、根っこの部分が深井さんに似ているようにも思います。お二人の空気感は独特で、ふと聞こえてくる会話に口元が緩むこともしばしば。


・・・と、なんだか大きな木とか空の話をしているような気分ですが、実はまだ羽衣2年生になりたてのたじまさん。もうずっといるひとのような大らかさと信頼があって、ついつい忘れそうになります。たぶん、みなさんのお墨付きのやつです。

昨年のワークインプログレス『瞬間光年』では衝撃のソロダンスを披露していましたが、なんとなんと本公演は初参加だそうです。時間とか事実って、案外あてになんないなーと思わざるをえません。

ここ数ヶ月ずーっと、瞳の奥の炎を静かに揺らしているたじまさん、本多への準備は着々と進んでいる様子です。やわらかな全力を浴びにきてください。

④_3 .jpg


文・松本由花(FUKAIPRODUCE羽衣)
撮影・金子愛帆

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