実力派ミュージカル女優たちが会話劇の傑作に挑む。『楽屋』稽古場レポート

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数多くのカンパニーで上演され、「日本で最も上演されている戯曲」とも言われる清水邦夫の『楽屋―流れ去るものはやがてなつかしき―』の上演歴に、新たな1ページが加わる。彩吹真央、大月さゆ、小野妃香里、木村花代。いずれも主にミュージカル界で活躍、実力派として知られる彼女らが紡ぐ『楽屋』はどんな舞台になるのだろう? 5月末、その稽古場を取材した。

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稽古場に入ると、まだ稽古開始時間になっていないようで、4人が思い思いに柔軟をしたり、台本を確認したりしている。4人の人柄か、落ち着いた、柔らかな空気が漂う稽古場だ。ディスタンスを保ちつつ交わす会話のトーンも和やか。そんな中で、演出・稲葉賀恵が立ち上がり、稽古がスタートした。

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物語の舞台となるのはチェーホフの『かもめ』を上演中の劇場の楽屋。部屋の主は、ヒロイン・ニーナを演じている女優C。ただし、この楽屋の"住人"は彼女だけではない。すでにこの世にはいない女優A、女優Bがなぜか居付いて、Cにちょっかいを出したりしている。この日の稽古はちょうど物語中盤あたり。Cの元プロンプターで、体調を崩し現場を離れていた女優Dが現れたことで、Cのイライラが頂点に達している場面だ。

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「(アクションを)考えてきました」と、稲葉。アクティブな場面にしたいようで「ティッシュを投げたい」「ここでもう一個」と動きをつけていく。女優Cを演じるのは彩吹。「これを投げる心理としては......」と稲葉に相談しつつ、動きを身体に入れていく。稽古の進行的におそらくこの場面を付けるのはこの日が初めてだと思われるが、それにしても彩吹のセリフ回しの巧みさよ。ABが見えていないCのセリフは、ほぼ"独り言"だ。それがまったく単調に聞こえず、見ていてぐいぐい惹きつけられる。

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一方で舞台をかき回していくのが女優Aと女優B。死んでもなお舞台に未練を残すふたりのやりとりの可笑しさがこの戯曲の見どころのひとつでもあるが、今回は女優Aに小野、女優Bに大月。たいていのカンパニーでは、ベテランふたりがABに配役されることが多いが、今回は最若手の大月が女優Bというのは意外なところ。しかし小野&大月コンビ、緩急のバランスがなんとも絶妙! モノに当たり散らすCが投げつけるあれこれの被害を受けるくだりの情けない表情がじわりと可笑しいのでぜひご注目を。

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そして女優Dに扮するのが木村。枕を抱えてすーっと近寄ってくるさまは、よくわからないけれどとっても"気になる"。取材している中ではセリフを発する場面はなかったが、この何とも言えない不気味さに木村の美しきソプラノボイスが合わさるといったいどうなるのか。楽しみでならない。

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稲葉は「こうと思わせて、こう見せたい。とするには、どうすればいいでしょうね?」「口紅を塗るところはキレイに見せたい。となると、場所はどこにしましょうか」といったように、ゴール地点は決め、その道筋は俳優に委ねるタイプのよう。キャストも「こういうのはアリですかね?」と積極的に意見を出し、それを見ている別のキャストが「面白い、面白い!」と反応する。どうやらこの女優たちのリアルな姿は、劇中の女優たちのドロドロした雰囲気とはほど遠そうだが、前向きで気持ちのよい稽古場で作られる彼女らの『楽屋』は、ぐんぐん面白いものに育っていきそうだ。

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公演は69()から13()まで、博品館劇場にて上演。チケットは現在発売中。

取材・文:平野祥恵
撮影:岩田えり

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