次のステップに踏み出さなければ、 と感じています 『風博士』林遣都インタビュー

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(朝日新聞東京本社版夕刊10/3発行号より転載)

人気の演劇シリーズ「日本文学シアター」第6弾『風博士』に、活躍目覚ましい人気俳優、林遣都が初登場。穏やかな物腰に表現への闘志を秘め、新たな挑戦を語った。

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「日本文学シアター」は、日本文学へのリスペクトを込めてさまざまな作家、作品から着想を得て、劇作家・北村想によるオリジナル戯曲を上演するシリーズだ。第6弾となる今回は、坂口安吾の短編小説『風博士』、『白痴』などをモチーフに、北村の大胆な発想の飛躍によって生まれた物語が展開する。「坂口安吾さんの小説も読みましたが、北村想さんの台本はそれとは全然別モノでした」と語るのは、シリーズ初登場、近年は映像とともに舞台でも大躍進を見せている俳優、林遣都である。

「誰も想像できないような内容になっているんじゃないかなと思います。ト書きがすごく面白くて、内容に関する解説や、役者やスタッフに向けてのメッセージも書いてあったりします。〝この映画は参考になります〞みたいなことまで書いてくださっているので、僕としてはありがたいです(笑)。きっとこれまでチャレンジしたことのない世界が広がっていると思うので、新たな出会いにすごく期待しています」

 戦時下の大陸を舞台に、風を読むことができる男〝風博士〞と彼を取り巻く人々の、時にミステリアス、時にユーモラス、時にノスタルジックな群像劇。その中で、林は若い兵士となって登場する。

「自分の人生を思い通りに選ぶことができない、そんな環境で育った青年です。そうした状況に立たされていた人は、やっぱり思慮深いなと感じます。感性も豊かで、なかなか難しくてやり甲斐のある役だなと。兵隊さんの役は初めてなので、いろいろと勉強しないといけないなと思っています」

 舞台出演は5作目だが、つねに慎ましい姿勢を崩さずに「舞台にはまだ不安と恐怖がある」と率直に明かす。シリーズ全作を手がけてきた寺十吾の演出のもと、風博士を演じる中井貴一、さらに段田安則、吉田羊、趣里、渡辺えりといった手練れの面々に囲まれた今回の舞台は、やはり自らを奮い立たせねばならない挑戦のようだ。

「自分には圧倒的に経験、知識が足りないのでこの尊敬する、素晴らしいメンバーの中に参加できることが本当に嬉しいです。俳優人生の中の必ずいい時間になるし、確実に得るものがあると思う。見栄を張らずに、多くを教わりたいと思います」

 今年の春に上演された前作『熱帯樹』(三島由紀夫作、小川絵梨子演出)では、歪んだ家族関係に苦悩し、実妹との禁忌に堕ちる青年を演じた。全身全霊という言葉が見て取れる鮮烈な表現に大いに魅了されたが、当人はやはり謙虚で冷静。自分の位置を再確認した経験として、穏やかに振り返った。

「千秋楽まで小川さんに厳しく指摘していただいて、演出家にすべてをゆだねてもらうところまで行けなかった自分がいました。もっと自分で役を、空間を創造できる力を身につけなければ......と痛感させられました。ただ、『熱帯樹』をやっている中で、一歩一歩、吹っ切れていくところもあった。堂々と立つことで景色も広がるんだ...と、本当に小さな一歩なんですけど」

 今は、また新しい一歩を踏み出す時。一世を風靡した人気ドラマの経験も、意識を変えた大切な分岐点だったようだ。

「『おっさんずラブ』という作品で、多くの人に自分を知ってもらえました。自分が積み重ねてきたものを信じ、どの作品も全力でやってきて、また次のステップに行かないとな...っていう時期にあるかなと。このタイミングで向き合う今回の舞台が、また大きな転機になればいいなと思っていま す」

 終始謙遜しながらも、最後には「根性はあると思っているんです」と得意げに微笑んだ。一歩一歩の自信が次の境地でどんな跳躍を見せるか、楽しみだ。

取材・文:上野紀子



<公演情報>
『風博士』
11月30日(土)~12月28日(土)
世田谷パブリックシアター
【作】北村想
【演出】寺十吾
【音楽】 坂本弘道
【出演】中井貴一 / 段田安則 / 吉田羊 / 趣里 / 林遣都 / 松澤一之 / 内藤裕志 / 大久保祥太郎 / 渡辺えり

チケット一般発売日:10月13日(日)10:00~

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